魔王様と神術搭攻略班。
「ねぇ、アシュリーまで話が脱線してるじゃないの。早く話を進めた方がいいんじゃない?」
「あ、あぁそうだな……」
アシュリーがメアに怒られるとかレアな物が見れた気がする。
「じゃあ話の続きだ。ロンザとコーべニアにも分かるように簡単に説明するとアルプトラウムは空に五つの島を浮かべていて、そこから魔力が発生し五角形の中央、あの光の剣に集中している。アレが地面に突き刺さるとこの世界が海に沈むと奴は言っていた」
そこでアシュリーは一度「ふぅ……」と深呼吸して先を続ける。
「奴の意思一つでこの世界はすぐにでも崩壊してしまう。それをしないって事は私達の反撃を待っているんだ。それを楽しもうとしている。あいつがゲーム感覚で居るうちに一気に攻め落とす必要があるって訳だ。そこで……五つの島を全て同時攻略する」
「まず私、メア、メリニャン、セスティ、そしてコーべニア。この五人を中心に攻略班を結成して一気に乗り込み制圧、神術搭とやらの破壊。そして速やかに脱出。これが一連の流れになる訳だが質問のある奴はいるか?」
問題は班分けをどうするかだよね。
「主力メンバーがそれぞれ各島へ分散しちゃうから、均等に分けないとバランス悪くなっちゃうね」
「それが問題だ。出来れば私のところには物理が行ける奴がきてほしい。ショコラ以外でな」
「えー、一緒に行く気満々だったのに……」
「お前だけは何があっても孤島になんか連れていかん」
「けちー」
「けちー」
「おいなんで今セスティまで混ざった?」
あっ、バレちゃった。
「おにぃちゃんも本当はアシュリーと一緒に行きたかったんだってさ」
「えっ、そ、そうなのか……? でも、今回は……ほら、な? だから、その……」
「嘘に決まってるし」
「ぶっ殺す! こいつはやっぱりぶっ殺さなきゃダメな奴だ!!」
この二人のやりとりも漫才みたい。
……そうか、アシュリーが誰かと楽しそうにわいわいやってるだけで面白い事になるんだね。ある意味凄い才能かもしれない。
「アシュリー、私は出来る事なら一緒に行きたかったなーって思ってるよ?」
「えっ……ほんと?」
「うんほんとほんと。だけど今回は別々になっちゃうね。しょうがないから私も頑張るよ♪」
「そ、そっか。そうだな。お互い頑張ろうな」
「ますたーってばちょろかわすぎるんですけどぉ~♪」
「うっさい!」
「アシュリー顔真っ赤」
「うっ、うぅ……!!」
これ以上虐めるとアシュリーが泣いちゃいそうだからさすがに止めよう。
ショコラだけじゃなくてメリーまで参戦しちゃったから。
「ほらアシュリー、話の続き宜しくね」
アシュリーを持ち上げて私の膝の上に座らせ、話を促す。
「あ、アンタ……これは、ズルいだろ……」
「いいからいいから、とにかくほら、話進めちゃおうよ♪ このままじゃイチャイチャする事もできないでしょ?」
「……ばか」
アシュリーがぼそっと呟いて、それからスイッチを切り替える。
「正直言うと私達が居なくなった瞬間を狙ってくる可能性もあると思ってる。だから最低限の戦力はこちらに残していくつもりだ。この国、そして各地の防衛に関しては魔王軍に任せたいって思ってる。私の提案じゃ気が進まないかもしれないが、どうか頼むよ」
「何言ってんの? アシュリーがちゃんと考えて提案してるのにごちゃごちゃいう奴がいたら納得いく反論出さない限り私がぶったたいちゃうよ。もしこの中に反論ある奴居たら遠慮なくまず私に言ってね♪ ちゃんと納得できる理由がある事が前提で」
……何故かみんなにやにやしながらこっちを見てくる。そういう空気じゃなかったつもりなんだけど。
「うちはなんも反論はないんやけどな、セスっちがそれ言うと完全に脅しみたいなもんやで?」
ろぴねぇがそう言ってケラケラ笑った。
「いや、流石に私だって理由があっての反論ならちゃんと聞くってば」
「ほんまかー?」
「ほんとだってば! とにかく班分けしちゃおうよ! 話が進まないもん」
まったくみんな自分勝手なんだから!
その後議論の末班分けをした。
魔王軍からもろぴねぇとらいおん丸は一緒に行きたいというので二人には班に入ってもらう事になった。
具体的な班分けは次の通り。
私の班は私とチャコだけ。
メア班も単体の方がやりやすいだろうって事で一人。
めりにゃん班はナーリア。
アシュリー班はろぴねぇ、サクラコ。
コーべニア班はショコラ、らいおん丸、ロンザ。
私とメアはおいといて、めりにゃんの所にナーリアだけっていうのは、ナーリアは多分混戦じゃない方が真価を発揮するって所でめりにゃんと相性がいい筈。
めりにゃんはいろんな魔法使えるからナーリアの足りない部分を埋めてくれる。
アシュリーの所は完全に物理組。ろぴねぇは内部破壊メインで、サクラコもスピード重視でアシュリーのサポートに適していると思う。
問題はコーべニアの所で、ロンザは昔からの付き合いで相性がいいだろうってのはいいんだけど、ここにショコラとらいおん丸もくっついたのは結構不安。
特にショコラ。
本当はアシュリーの所こそショコラが良かったんだけどアシュリーが「絶対嫌だ!」って聞かないからしょうがない。
結果的にショコラは男ばかりの班に放り込まれて絶望してる。
がんばれっ♪
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