魔王様とヒールニント星人。


「私実はヒールニント星からやってきたヒールニント星人なんです♪」


「……もう! 何馬鹿な事言ってるのよ……一瞬本気で心配したじゃない」


「えへへ、ごめんなさい」


 メアとヒールニントのやり取りを見て、きっと他のみんなもドキっとしたに違いない。

 私もそうだけど。


 というかあんたはヒールニント星人じゃなくてヒールニント聖人でしょうが。


「はぁ……漫才やってないで早めに対策考えないと本気でまずい事になる。一度王国に帰るぞ」


 そう言うとアシュリーは一足先に転移で帰っちゃった。


「めりにゃん、メア、私達も一度城に帰りましょう」


「う、うむ……しかしお主、その状態で世界中に映像を届けてしまうとは……今考えればあれは失敗ではないか?」


 ……? 何が失敗だったんだろう。何かヘマしちゃったかな?


「そうね。おにぃちゃんの事を世界の人々は間違いなく女として認識したでしょうからきっと呪いの進行はとんでもない事になってるわね。もうおにぃちゃんって呼ぶのも違和感感じるわ……」


 メアまで変な事言ってる。


「何よ。私がこのままじゃ困るっていうの? 私は私なんだから別にいーじゃん!」


「お、お主がそれでいいのならば儂は構わんが……」

「元に戻るまではセスティって呼ぶことにするわ」

「私はどっちでもいーですけどー」


 皆それぞれの反応が返ってきて面白い。

 正直今の私は私という物に違和感感じてないから特別どうにかしないとって気持ちは全然ないんだよね。


 本当は男とかそんなのどうでもよくない?

 だって身体がこんなに可愛いのに中身おっさんとか誰も喜ばないって。

 外見に適した中身の方が良いに決まってるじゃんね?


「とにかく一度城に帰るのじゃ。アシュリーや他の面々を合わせて具体的な作戦を考える必要があるじゃろ」


 ヒールニントはメアが、私はめりにゃんに連れられて王国へ戻る。


「セスっちーっ! いろいろ聞きたい事が沢山あるんや! あの空に浮かんでるんとか神様のアレとかセスっちのアレとか!!」


 私達が王国へ戻り、みんなを集めようかなって思ってたらもうみんな城の前に集まってた。



「おー、ろぴねぇ今日もおっぱいおっきいね♪」


「ふぇっ!? ど、どどどどないしたんこの人!?」


「ロピアよ……今完全に頭の中お花畑なんじゃよ……既に施しようがないのじゃ」


 めりにゃんがとても優しい顔で、背伸びして私の頭を撫でてきた。


「ちょっと、可哀想な子扱いしないでっ! 私は私、プリン・セスティなんだからね!」


「おにぃちゃんが……ついに一線を越えた……」


 ショコラまでなんだかめりにゃんと同じ目をしてる。


「そ、そうなんや……でも、うちはどんなセスっちも好きやで?」


 あ、ロピアまで……。


「姫! 姫は未だかつてない程に姫になってしまったという事ですか!?」


「あ、ナーリアじゃん今日も綺麗だね」


「え゛っ……」


 ナーリアが凍り付いたように固まって、しばらく待ってたらゆっくりと後ずさりしていく。



「ひ、姫が……なんだか、おかしいです……どう反応していいのか分かりません」

「ナーリア様には私がついてますからね!」

「ステラ……ありがとうございます。しかし、私はどうしたら……」


 ナーリアとステラまで私の事変な目で見てくるようになっちゃった……。


「セスティ殿の映像、こちらにも届いていたのである! 相変わらずいい事を言うものだと感心したのである!」


 足元にちょこちょことらいおん丸が歩いてきたのでひょいっと持ち上げて肩に乗せる。


「らいおん丸はいつも通りで安心したわ」


「む? セスティ殿はいつもより少し雰囲気が変わったようであるな?」


「ライオン丸よ……今のセスティを見てその程度の感想しか出てこないとはお主もそれなりにどうかしておるようじゃ……」


「ヒルダ様! 酷いのである……!」


 めりにゃんが私の肩の上かららいおん丸を摘まんで頭の上に乗せた。

 やっぱりそこが定位置なのかな?


「おい、そろそろいいか? 会議室行くぞ」


 一連の流れを遠巻きにみていたアシュリーが無理矢理話を纏めて、城内の会議室へ移動する事になった。


「ますたー待ってくださぁーい!」


「別にお前は来なくてもいい」


「酷いです私だって役に立ちますよー?」


「なんの役に立つのか言ってみろよ」


「お肉を沢山食べますっ♪」


 がいんっ!


「相変わらずかてぇ頭だなぁ……」


「えへへ♪」


 なんていうかアシュリーとメリーのやり取りって漫才みたいですっごい楽しい。


 仲良きことはなんとかってやつだよね!


 そんな二人を見ながら後ろを付いていくと、不意に背後から誰かが背中に張り付いてきてがっちり抱きしめられた。


 ついでにおっぱい揉まれた。


「ショコラ? どしたの?」


「なんてこった」


「どうしたの? 可愛がってほしいなら時間ある時に寝室でね?」


「なんてこった……」


 ショコラは悲しそうに私の背中から降りると肩を落として早歩きになり、前方に居るアシュリーに飛び掛かって「うわっやめろバカ!」「そのままのアシュリーでいて」「いい加減にしろーっ!」みたいなやり取りが聞こえてきた。


 仲良きことはなんとかってやつだね!




――――――――――――――――――――


どうでもいい話なのですが本日7月30日、作者が誕生日を迎えました!

はい、どうでもいいですね(;´∀`)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る