魔王様のローゼリアだよ全員集合!
「あら、このぬいぐるみさんはだぁれ?」
ひとまず国名の事はいい。後でちゃんとすばらしさを分かってもらうもん。
「ま、ま、まおうが何故こんな所に? この後魔王城に行くつもりではあったが……いや、予定が少し早くなっただけなのである」
このぬいぐるみは何をぶつぶつ言ってるんだろう。
「ライゴスさんも無事だったんですね!」
「アンタまだそんな身体のままだったの?」
ナーリアちゃんとアシュリーが親し気に話しかけてる様子を見ると、このぬいぐるみも仲間だったって事なのかな?
「ナーリア殿とアシュリー殿が……魔王と一緒に居る所を見ると、やはりライノラスの言っていた事は本当だったのであるか……?」
ライノラス? ってあのライノラス??
「ねぇぬいぐるみさん。ライノさんと会ったの? あの人にはお世話になったから今度お礼に行こうと思ってたんだ♪」
ぬいぐるみがたじたじと二~三歩後ろに下がりながら、「う、うむ……」と呟く。
「ライゴスさんはある程度状況を把握してらっしゃるんですか?」
「ナーリア殿……我は魔物の王国の事は話に聞いているのである。しかし、ナーリア殿やアシュリー殿まで居るとなると……」
「ぬいぐるみさん、私達の王国はね、ディレクシアと……人間と同盟を結んだんだよ。だからもう人間は襲わない。今はナーリアさんとローゼリアを調べにきたらアシュリーさんと会ったの」
ナーリアちゃんが補足でいろいろ説明してくれて、アシュリーの時みたいに面倒な事にはならずに済んだ。
「だとしたら、我は魔物の王国に関しては全面的に応援する事にしよう。ただ、皆も思っている事であろうがセスティ殿の件は早めに何とかしてほしいのである」
セスティっていうと、姫って人の事か。
やっぱり皆姫姫姫。すごいな……。
私はそんな皆にとって大事な人を奪ってしまったのか。
「ところでアシュリー殿! 大事な話があるのである! こんな所で会えるとは思わなんだ……実は……」
ぬいぐるみさんは今までの経緯、病の女の子の事などをアシュリーに打ち明け、どうにかならないかと意見を求めた。
「うーん……ぶっちゃけ姫の時は都合のいいアーティファクトがあった事だけじゃなく、失われた部分を補完するだけだったから何とかなったのよ。運も良かったし。病におかされている場所を新しい物に取り換えるみたいな繊細な話になってくるとかなり難しいわ」
「……そうであるか。何か、準備が整えばどうにかなるものかどうかを教えてほしいのである」
「正直私に出来る気はしない。可能性はゼロじゃないけど、限りなく成功の可能性は低いと思うわ」
ぬいぐるみさんががっくりと地面に手をついて、呻き出した。驚くべき事に涙まで流れてるように見える。ぬいぐるみなのに。
「マスター、なんとかしてあげて下さいよー」
「うるせぇ。だったらお前が何とかしてみせろ」
「えー無理ですー」
「お姉ちゃんその子は誰です?」
「あーもううるせぇうるせぇ! そんな事は後でいいんだよ。とりあえずローゼリア調べるんだろ!? お前らその為に来たんだよな!?」
確かにそれはそうなんだけど……。
「ちょっと待って。私それなんとかできるかも」
「……ど、どういう……事であるか?」
私は、思うままに物体を作れる事、自分の身体はそれにより改造されているという事などを説明した。
「それでは……彼女を、リナリーを助ける事ができるのであるか!?」
「その子の身体の情報が具体的に分かればね。その辺のスキャンデータみたいなのを用意出来ればそっくりそのまま作り替える事は出来るよ。勿論人形とかじゃなくてちゃんと人体としてね」
「難しい事は分からないのであるが……難易度が下がった事だけは分かるのである。アシュリー殿、今の話は貴殿なら分かるであるか?」
アシュリーはずっと顎に手を当てて難しい顔をしていたけれど、流石大賢者さんだけあって話が早かった。
「要するに詳しいデータが無いと、その子【みたいな物】は作れるけど正確にそのまま作り直す事は出来ない……。だからその子の体内の正確なデータが必要って事でしょう?」
「うん。その通り。なんとかなりそう?」
私だってなんとなくで作って変な事になったら困るし、逆に言えば設計図があるのならそれの通りに作れる自信がある。
「ねぇねぇヒルダちゃん。なんだかこんな所に人やら魔物やらがいるけど知り合いだったりするー?」
急に大気が震え、その振動に乗せ声が響き渡る。
今、ヒルダちゃんって言った??
見上げるとそこには巨大な白い竜。
「な、お姉ちゃんあれ何ですか!?」
「私に聞くな馬鹿!」
「あれは……聖竜殿!?」
ぬいぐるみさんは知ってる竜らしい。
魔族じゃなくて魔物……? 私が知らない魔物……。
そして、ヒルダ。
元魔王が来てるの?
なんでこんな急にいろんな人がこの場所に……?
「おーナーリアとアシュリーじゃ! らいおん丸までおるではないか!! って、あー! 魔王が一緒じゃと……!? ど、どーなってるんじゃこれは!?」
「何やら状況の確認が必要のようですね」
白い竜の背中からヒルダと呼ばれた少女と、何やら難しい顔をした男性が降りてくる。
あっれ。
前の魔王って……どうみても……。
幼女じゃん。
「沢山人が集まった事ですしみんなでお肉たべましょーよー おにくおにくー♪ ばーべきゅ……」
ぼかり。
一人やたら空気を読まずに能天気な事を言い出した謎の少女の頭をアシュリーがぶっ叩いて、顔を歪めながら拳を必死にさすっていた。
てか一気に人が増えすぎて頭混乱してきたんだけど……流石にこれ以上増えないでしょうね?
「私、参上っ!」
「さ、さんじょーですのっ!」
……またなんか来たー。
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