ぼっち姫、人売オークション開催。
「皆様! 本日はお集り下さり本当にありがとうございます! 今日は特に凄まじい目玉商品が入っておりますのでどうかご期待下さい!」
そんな司会の声と共に、大歓声があがる。
ついにオークションが始まってしまった。
「本日の商品は少し趣向を変えた物を取り揃えております。普段は一つ一つ紹介していくのですが今回については特例として、まず最初に品物のリストを紹介いたしましょう! 商品が全て高額になってくるかと思いますのでよく考えて購入頂くための措置となります」
そしてまた大歓声。
「まずは一人の男を紹介いたしましょう。この男は特殊なスキルを所持していて、ギャンブルで百パーセント勝利する事ができます」
デュクシの事か?
客の反応は歓声というより困惑とか疑問の声が多かった。
「よく考えて見てください。どんなに高額なギャンブルでも、必ず勝つ事ができるのです。スキルの効果については保証いたします。先日我らがカジノにて恐ろしいまでの成果をあげたのがこの男です。使い方は様々。お客様の使い方一つで可能性は無限大で御座います」
ちなみに、商品説明の後に発表されたデュクシの値段は最低一億からだそうだ。
「簡単に高額を稼ぐ事が出来ますが、どうか当カジノでのご使用はご遠慮下さいませ!」
どっ、と会場が笑いに包まれる。
「続きまして……まるでモデルのような美女をご紹介いたしましょう。勿論ご購入された方が何をされても問題ありません。……おや? もしかして先ほどの商品と比べて値打ちが低いとお思いですか? そんな事はありません。なんとこの女性……」
「セスティ! セスティ! どうしたのじゃ!? まさか身動きとれんのか!?」
司会がおそらくナーリアの解説をしている時、すぐ近くでめりにゃんの声が聞こえた。
なんでめりにゃんがこんな所に?
助けに来たとは考えにくい。めりにゃん一人で何かできるとは思えないし、ライゴスだって時間がかなり限られている。
なら、考えられる事は……。
畜生。これはまずいな。
「おいセスティ! 聞こえておらんのか?」
俺はまったく体を動かす事も声を出す事もできない。
仕方ないのでメディファスに小声で説明してもらう事にした。
『我が主は特殊な毒により身動きがとれぬ状況にあります。ヒルデガルダ・メリニャンはなぜこのような所に? 貴女も捕まってしまったのですか?』
「そうじゃ! セスティ達を待っていた時、ジャックスの家にプルットから通信が来たのじゃ! 勇者がこの街の近くに居ると……」
なんだと!?
リュミアがこの街近辺にいるのか?
いや、それは重要な情報だが今はそれどころじゃない。
『その情報も貴重な物ですが、主は貴女の状況や対応策について話したいようです』
「そ、そうか。とにかくじゃ、ジャックスが留守だったから儂が通信に出てしもうたんじゃが、通信を切った所で後ろから誰かに羽交い絞めにされてしもうて、何か薬でも盛られたのかもしれん。気が付いたら檻の中じゃった……」
じゃあ犯人も分からないって事か? ライゴスは一体何をやっていたんだ!?
『主はイオン・ライゴスはどうしたと言っています』
「ライオン丸は……あれ? そういえばどうしたんじゃろう? 少なくとも儂と一緒ではないのじゃ」
あんの役立たず! ボディーガードとして残したっていうのにそんな仕事も満足にできないのか?
過ぎた事を言っても仕方ないか。とりあえずこの状況を打開する方法を考えないと。
「のうメディファスよ。儂の封印を解く事は出来ぬのか? そしたらこんな檻などすぐにでも……」
『不可能です。主の体が動くのならすぐにでも可能ですが、両名の手を触れさせる必要がありますので。そちらが手を伸ばして主に触れられるのでしたら可能ですが、見たところその手足の長さでは無理であろうと判断します』
「貴様一言多いのじゃ!!」
『失礼いたしました』
結局何も好転していない。捕まった人数がふえただけだ。
「……という訳なのです! この特異な存在、そしてこの娘の整った外見。かなり希少価値た高いと思いますよ!」
わぁぁぁぁっという人々の歓声。ナーリアの紹介が終わったらしい。
落札最低価格はデュクシと同じ一億から。
めりにゃんと話しててちゃんと聞こえなかったがナーリアの奴意外と評価されてるな……。
そういえば、二人の説明をするって事は今そこにナーリアとデュクシが居るのだろうか?
『主から質問です。今デュクシ、ナーリア両名は確認できますか?』
「あ、あぁ。あの二人なら今ステージの上じゃ。デュクシはセスティと同じでまったく動かん。ナーリアは……目を覚ましているようじゃ。こちらには気付いておらんようじゃが……」
そうか、とりあえず無事が確認できただけでもいいが、デュクシは眠らされているのか? それとも、まさかあの時から寝っぱなしなのか。
「次は、目玉の一つです。なんと……人型での魔物です! しかも言葉をしゃべります。力は封印されておりますので安心です! おいお前ら、連れてこい」
バタバタと数人の足音が聞こえて、
「おい、こら辞めるのじゃ! 儂を売ろうなど……この無礼者!!」
そしてめりにゃんの檻が運ばれていき、その姿を見た客達は今までで一番の歓声をあげる。
「しかもこの少女……信じられないかもしれませんが……なんと、元魔王なのです」
うおぉぉぉぉ!!
さらなる歓声、そしてざわざわとした驚愕と困惑の声。
ちょっと待てよ。
なんでめりにゃんが元魔王って知ってるんだ?
俺はなんとなく今回の件、裏が見えてきた気がした。
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