太陽は日陰で休みたい
まつも
太陽は日陰で休みたい
「ああ、疲れた」
この世に生まれてきてからそろそろ46億年だろうか。
僕は、他の星と話したときにときどき出てくる『日陰』というワードに惹かれていた。なんでも、どの星も半分は常に日陰になっていて涼しいらしい。半分ずつではあるが休める、というわけだ。
それに比べて僕はどうだろう。もうどんどん熱くなってきている。
いったい『日陰』とはいったい何なのだろう。他の星は当然のように知っているそれを僕は見たこともないのだ。
「僕も日陰で休みたいなぁ」
僕から見えているところに日陰が無いなら、僕が見えていないところにその日陰はあるということだ。どうしても日陰を見て、あわよくばそこで少し休みたかった。
僕はまず、手始めに地球の裏に行った。しかし、日陰は見つからない。
火星の裏に行った。それでも日陰は見つからない。
木星の裏に行った。やっぱり日陰は見つからない。
土星の裏にも行った。天王星にも、海王星にも、冥王星にも――――
結局、太陽は日陰を見つけられなかった。
自分がそのその陰を照らす存在であるからだ。
彼は残念がったが、逆を言えば彼は陰を見なくて済む。
もし、僕たちが陰を見たくなくなったら自分が照らしてやればいい。
そんな太陽のような存在になってやろうと、
僕は闇の中で決意をした。
太陽は日陰で休みたい まつも @matsumo1576
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