異種間交流という一つのジャンルには植物生命との対話物語もありますが、本作はもっと身近に、我々の生活圏内に存在する植物と話ができるというところがとても斬新で面白い。設定も非常にリアリティがあって、かつ植物の声がなんとも説得力がある。そりゃ植物だし構造は人間と違いすぎるし、対話っていっても一方通行になるだろうなぁ。
でも、異種間交流の面白さはここだと思うのです。
わかり合うことのできない存在を通じて自分と相手を見つめ直す、そんなコミュニケーションの形がこのお話にはこめられています。
ビール片手に植物に悩みを話しかけて、なんだそれ?って植物がまったく相手にしてくれなくて……そんなもんかと自分で立ち直るような。ああ、なんとも面白い。
本作はAIを活用した様々な生活変化も描写されていますが、こちらも大変説得力がある。AIを使う時代ならではの苦労話も、なんだかそう遠くないうちにやってきそうな気がします。
ユーモラス溢れるSF作品です! どうぞ読んでみてください!