第337話 カツライ・ミサト、春日リンと飲む
エドは思い出した——。
それもとても重要なことを。自分しか知らされてない『極秘事項』がたちまち脳のなかに再構築されていく。
『ありえない……』
『なにがありえないのかね』
つい心のなかで言ってしまったことばに、金田日が反応した。
『あ、いえ、なんでもありません』
だが心の奥底でエドは否定を繰り返していた。金田日が打ち明けてきた『魔法少女が基地内に現れた』という話は絶対にありえないことを。亜獣がこの基地内に出現できないことも、そしてそれ以上のことも——。
エドはふと思いついた。エドの失点を一気に挽回する方法を——。
金田日の提案などとるにたらないほど、もっと大胆で刺激的な作戦を……。
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「リン、あなた前に魔法少女は亜獣じゃなくて、それを操っている亜獣が別にいるかもしれないって言っていたわよね。つまりこういうこと?。もう一体の亜獣の可能性があるって、リン、あなたほんとうにそう思ってるわけぇ?」
会議が終わったあと、カツライ・ミサトは春日リンを、将校専用のラウンジに呼んで語らっていた。ここのところ会議などで、なにかとリンに助力をもらっていることを
落ち着いた雰囲気のラウンジのバーカウンターで語り合っていたのに、ついリンに喰ってかかってしまった。
リンはかなりのピッチで飲んでいたはずだったが、しっかりとした口調で返事をしてきた。
「ちがうわ。あのときのわたしとタケルくんの見解は、魔法少女は亜獣ではないというものだった。なにかに操られているっていうね。だからイオージャが出現したとき、わたしたちは、いえ、すくなくともわたしは、自分たちの推理が正しかったと確信した」
「でも、今日のレイの考察じゃあ……」
「そうなの。イオージャとは別の亜獣がさらに存在して、それが魔法少女を操っているっていうことになる……」
「つまり今回の戦いは、雷を発生させる亜獣イオージャと、魔法少女を操る亜獣が同時に攻撃をしかけているっていうことよね」
「ええ。厄介なことに……」
「そう!。厄介!」
ミサトはそう言うと、グラスの底をカウンターに強くうちつけた。中の酒が勢いであたりに飛び散る。
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