退屈は自由な『いて座』を殺す。だから平穏安定思考の『おうし座』に迫るのはやめろな？

寝起き前イタズラ2

【おまけ１０】

【塩対応のくせに寝ている時は無防備の神の夏海君に茜ちゃんが寝起き前イタズラしちゃうぞ２】

おはようございます。茜です。今はすっぴんですが持ち込んだ白クマの着ぐるみみたいなルームウェアを着ているので見た目も茜ちゃんです。茜ちゃん白クマバージョンです。さっきこっそり着替えました。

夏海さんが見ていた『見ても疲れないほっこり系アニメ』に白クマが出てきたのでサプライズ的に用意しました。【積極的にせよ】とおみくじにも書いてありました。

間もなく朝のようですがギリまだ薄暗い時間です。最近めっきり朝も明るくなるのがゆっくりになった気がします。今日は祝日なので何時まで寝ていても大丈夫ですが私はかなり早めに目が覚めました。

なぜなら。隣に可愛いのが寝ているからです。

今日は久し振りに【塩対応のくせに寝ている時は無防備の神の夏海君に茜ちゃんが寝起き前イタズラしちゃうぞ２】の様子をお送りします。差し支えなければサイレントモードのご協力をお願いします。もちろん気分を盛り上げるためです。騒いでもこねても夏海さんは絶対に起きませんが念のために。そんな感じでより楽しくお送り出来るように暖かいご協力よろしくお願いします。

はい。この可愛いのは全然起きません。相変わらずの神っぷりです。もちろん。この可愛いの＝無防備の神こと私の彼氏の夏海さんです。

昨日。普通に寝落ちした夏海さんはまだぐっすりスヤスヤ寝ています。

この警戒心の欠損はもはや病気レベルです。

おそらく野良猫なら他人の気配だけで96回は目を覚まして、こねこねされたあたりで完全に逃げ出すレベルですが神ってる夏海さんは少しくらいこねこねしてもスリスリしてもぎゅうしてもナデナデしてもデコちゅーしても起きません。

ちなみに。先程。睡眠状況の確認のため3回くらいデコちゅーしてみましたが起きませんでした。

無防備過ぎて射ったり狩ったりは狩人のプライド的な問題で致しかねますが【可愛いイタズラ】くらいなら許されると思います。

油性ペン。もちろん持っております。私は約束は遵守するタイプです。髪ゴムもヘアピンも持参しております。

中にあんこが入ったパンを擬人化した国民的ヒーローの絵は以前すでに書き込んだので違うテイストにしようと思っております。

ぺろーんと袖を捲って「茜ちゃん大好き」と「お砂糖の神に転生したんだが。」とラノベのタイトルみたいな言葉を肩のあたりに書き込んでみました。ついでに「Trick or Treat？」も書き込みました。もちろんキレイに鏡文字になるように。アルファベットの方がキレイに書きやすかったです。そして袖を元通りに戻しました。

「夏海さーん。Trick or Treat？間もなくハロウィンですよー」

もちろん私はチマチマした事はしません。正々堂々と宣言して少しだけ頭を撫でてみても起きません。

Trick or Treat？とか言ってイタズラしちゃうなんて死ぬほど古典的なテンプレ行動をされているのにも関わらず爆睡です。可愛いです。

さらに夏海さんの髪をウサギちゃんのお耳みたいにピョンと二つに結ってみました。

お約束通り持参した髪ゴムで。絡まないタイプの髪ゴムで右はオレンジ、左はピンクのそれは濃い色のカラフルな髪ゴムです。リアルな大人の夏海さんの部屋の中には存在しないカラフルな色の物体です。目立ちます。わからない程度に前髪も流してヘアピンで軽めにとめました。

普通ゆるダラで死ぬほど落ち着いた大人のくせに寝顔が妙に可愛い夏海さんが、ピョンと髪を二つに結われてウサギちゃんみたいになっております。

…くっそ可愛い！！！！

親に無理矢理女の子みたいに髪を結われたまだ反抗期前の素直な男子小学生みたいです。

もう【夏海君】って感じすら超越して【なっちゃん】って感じで髪をピョンと二つに結われています。

世界一無防備に。

もちろん。撮りました。静止画も動画も。【無抵抗】とか【犯罪】とかそんなタイトルを付けたら賞を取れそうです。今回もアンサイクロペディアにも使用出来るレベルの仕上がりです。

ウサギちゃんバージョンのなっちゃん。ハァハァ。

とりあえず。ほっぺにちゅーしました。3回くらい。やっぱり神ってるなっちゃんは起きませんでした。

あまりエスカレートすると『可愛い』イタズラのラインを越えてしまいそうなので今からとりあえず二度寝します。起こさない程度に可愛い二つ結いの髪をピョンピョンしながら。ついでに、こねこねしながら。

幸せ過ぎて怖い！！！

間もなく早朝なのに。

１日の中でも指折りの爽やかな時間帯なのに。

その爽やかな感じをブチ壊すまだ少し薄暗い部屋のヤバい系の彼女です。

万が一。「無抵抗なおっさんマジ尊い」とか「もっとやれ。やるならいっそ可愛いイタズラのラインを越えていけ。全私が支援する」など世の中のニーズがありましたら。

【塩対応のくせに寝ている時は無防備の神のなっちゃん(夏海君×→なっちゃん○)に茜ちゃんが寝起き前イタズラしちゃうぞ３】を配信したいと思います。ハァハァ。大変失礼いたしました。以上。白クマバージョンの茜ちゃんがお送りしました。

◇

「眠い…」

眠い。けっこう寝た気がするけど普通にまだ眠い。季節的な問題だな。即二度寝。

あ。なんか自分。白いの抱っこして寝てんな。いや。抱っこされてる？

つか。白クマ？？？

「おはようございます夏海さん。まだ寝てて大丈夫ですよ？遠慮なく」

なでなで…

なに？なんか頭を撫でられた。おっさん。白クマに撫でられたよ。

なんだコレ。寝起きに死ぬほど癒される感じ。起きたら目の前に白クマってどんなシチュエーションだよ？くっそ可愛い彼女だな。

「なっちゃん。大好き！」

「…なんだよ」

白クマが甘えてきた。最近我慢しないで素直に甘えてくる感じも正直可愛い。死ぬほど可愛い。２回目。

これはあのムカつく獅子座のガキには見せられない。内緒です。

「起きる前も可愛かったですけど、寝起きのなっちゃんを見てたらいよいよ堪らなくなってきました。このまま癒されたかったら夏海さんも私に甘えて下さい。甘やかしたい気分です。さ。遠慮なく」

ほっこり系のお願いに魅力的な脅しがセットで付いて来た。

「このまま大人しくしてろ。もう少し寝る」

狩られた。

くっそ可愛い。

他の奴にはこんなに簡単には癒されたりしないし。甘えたりしないぞ。

ぎゅー

もう普通に甘えるおっさんです。この可愛い白クマ。くっそ癒される。

「な、夏海さん？？」

「可愛いのはお前だろ。癒される」

「っそういう甘々なセリフをぶっ込まれると対応いたしかねますよぅ！」

なっちゃん発言については単に最近懐いてきた可愛い彼女のイタズラだと思って聞き流した。しかし狩人は常に狩人だった。日常的に手に弓矢持ってるのだ。大きな狩りを小さなフェイクの狩りで隠すような真似さえ簡単に出来る。

自分の髪が『親に無理矢理女の子みたいに髪を結われたまだ反抗期前の素直な男子小学生(ウサギちゃん)』みたいになっている事にまったく気付かずに。しかも。しばらく気付かずに過ごしたおっさんだった。

◇

「いっそ死にたい…」

「似合ってましたよ？なっちゃん」

親に女の子みたいに髪を結われたまだ反抗期前の素直な男子小学生みたいな髪型にされてた。なんかもうウサギちゃんのお耳みたいに。しかも異常にカラフルなゴムで。この異常にカラフルな髪ゴムはどこから出てきたのだろうか。

なっちゃんとかそんな屈辱的な呼び方をされて。しかもそれにしばらく気付かずに過ごした。

ようやくイタズラに気付いて精神的に死にかけている。

「もう死んだと思っていた幼少期の記憶を無理矢理掘り起こされて犯された気分」

「あ。やっぱり夏海さん小学生の時は女の子みたいでした？幼少期の【なっちゃん】は女の子みたいに髪とか結われてました？それともスカートとか履かされてました？」

「古傷エグんなよ」

いっそ死にたい。

自分の幼少期を知らない若い彼女には、男らしい自分だけをトリミングしてお知らせしたかったのに。

テンション高くてウザい系の親に『カワイー』とか『似合うー』とか『女の子みたいー』とか言われて髪を結われても、幼くてろくに抵抗もしなかった幼少期のバカな男子小学生を葬り去りたい。その脱力系の態度のせいで七五三では本格的に着物すら着付けられたトラウマ黒歴史が思い出される。カワイーわけねぇだろ。似合うわけねぇだろ。女の子じゃねぇわ。

幼かった自分のバカ…

全力で抵抗しろよ。幼くてわりと無抵抗だった当時の自分のバカ…

そして現在はおっさんのくせに未だに無防備な自分が一番バカ…

今思えばあんなウザい系の親は普通に殴り飛ばせば良かった。遠慮なく。全力で。今度会ったらとりあえずぶっ飛ばす。

「ジェラシーです。素直な小学生だった可愛いなっちゃん」

「いや。マジでそれは聞くな。思い出したくない」

「七五三で着物とか着付けられちゃいましたか？千歳飴とか持たされちゃって。あ。ひな祭りにはワンピース着せられたりして？」

「やーめーろー。マジでやめろ。俺はあれ以来トラウマで甘酒が苦手になったんだよ」

マジで鳥肌立った。小学生の頃のトラウマなど思い出したくもない。なんかかなり具体的な正解混ざってた。怖い怖い。

「未だにダメージ尋常じゃない質問は控えろ。かなり昔だ。記憶曖昧だ。聞くなよ」

思春期のトラウマ黒歴史よりしんどい。

「独占欲ですよぅ」

「引くわ。そして死ぬわ」

これならまだお風呂で実際に身体をこねくり回されたマシだ。あと思春期のトラウマ黒歴史の発表会した方がまだ我慢出来る。幼少期のトラウマをこねくり回されているおっさんはそんなまったく逃げ道じゃないルートすら逃げ道に見えるくらい追い詰められています。

そんな感じで若くて可愛いくてパッと見は癒し系の白クマさんに良い感じに精神的にこねくり回されました。

◇◆◇◆◇

もちろん。その日の夜。肩に書かれた「茜ちゃん大好き」と「お砂糖の神に転生したんだが。」というラノベのタイトルみたいな言葉。ついでに「Trick or Treat？」のイタズラ書きを見付けました。

「イタズラ、された…」

トドメまでしっかりと刺されたおっさんです。

ーおしまいー