考えた

 なにかしてやれることはないのか、考えた。

 オレにできることはないのか、考えた。


 オレにマーメイドシックを治してやることはできない。

 ずっとミュージアムに立てこもっていたオレには、オルゴールの話くらいしかしてやれることがない。

 オレはユキに、なにもしてやれることがない。

 それを、たまらなく悔しいと思うようになっていた。

 ただの友達にこんなことを思うのだろうか?


「…………」


 ふと、ケータイのランプが光っていることに気がついた。

 杉原からメッセージが送られてきていた。

 どうやら告白された全員に返事を済ませたらしい。


 オレはユキの顔を見つめながら、後ろ手にケータイを握りしめた。

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