ぷくり、ぷくりと
オレたちの願いが届いたのか、天気予報はまた外れて翌日も雨が降り続いていた。
オレは隣で眠っているユキの顔を見つめる。
あらためて、整っているなと思う。学校のやつとは一段ちがうところにいる顔立ちだ。
日本人には馴染まないはずの髪色がすんなり似合ってしまうくらいに。
「……お姫さま、か」
ぷくり、ぷくりと、ふたつ昇った水泡が天井ではじける。
「……なにかいった?」
目を覚ましたユキが眠そうな声できいてくる。
なんでもないよ、とオレは言った。
ユキは窓の外に目を向けると安心したような微笑みをこぼす。
「おはよう、コウ」
「ああ、おはよう」
オレは布団から立ち上がって手を差し出す。
ユキはその手をとって立ち上がる。
床に足をつけたとき、ユキの顔がすこしだけひきつった。
「今日はどうしたい?」
「コウとたくさん話してたい」
「昨日も夜遅くまで話してたじゃないか」
「コウは、話したくない?」
やれやれとため息を吐いて、オレはその日もユキとたくさんの話をした。
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