その二
反物をはらりと広げたようなこの世界。
横に長く伸びるその東端に、
神の化身といわれる、五色の龍が棲まう清らかな地。
それは夜の精によって磨かれた太陽が、日の出の刹那に最も清浄な光で照らす、守られし地であるが故のこと。
異国からは “
その昔、雷に撃たれた龍の子を助けた
その一族は後に国を束ね、天下泰平に国を治め、民のために五穀豊穣を祈る役割を担うようになった。
そんな営みを千年続けてきた桜津国で、“
十二年に一度、たった一日だけ艶やかな花を咲かせる、清らなる谷の
清々しい朝日を受けて無数の蕾が一斉に開花する刹那、桜津の国内では龍の
祝福の証を右肩に刻んだふたりの赤子は、男は
彼らは数え十七の春、
楓は、“
花祝は、“襲” を纏いて邪気を退ける、
龍の通力を持つ者は、力を返すその日まで、龍からの “遣わし” として
これもまた、桜津国に千年続く伝統なのである。
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