◆第30話◆「なんだかなぁ、相談するぞ(前編)」

新作投稿しました!!


『RPG転生!〜ミリオタ幼馴染(JK)と挑む異世界魔王討伐〜』

https://kakuyomu.jp/works/1177354054895617964


みーてーねー!!

──────────────────



「まったく、死ぬかと思ったわよ!!」


 プリプリと怒っているリスティ。

 そして、ガツガツと相変わらずよく食う。


 本人曰く、死にかけたおかげで腹がすいたといっているが、どうだか……。

 彼女はビィトが準備した軽食の堅パンと、エミリィのジャムを好き勝手に塗りたくってバリンボリンと噛み千切っていた。


「悪かったよ。だけど、命があっただけ儲けものだろ?」

「エレガントさに欠けるのよ!!」


 むふー! と鼻息荒く唸る我が妹。


 女性にあるまじき恰好で、ドッスン! と胡坐あぐらをかいて座っているものだから服の間からパンツ丸見え。


 ……妹のパンツって誰得だよ。


 そっと目を逸らすビィト。

 ジェイクも全く興味がなさそうにして、干し肉を齧りつつ刀を手入れしていた。

「───リスティ、ほどほどにしておけよ。物資にも限りがあるのは分かっているだろう?」

「あーはいはい」


 とかいいつつ、ジェイクの言うことも話半ばで聞いているのが丸わかり。

 たっぷりのジャムを乗せた堅パンをこれまたたっぷりのビールに浸して食べている。


 まー下品な食べ方。


 ……それでエレガントとかよく言うわ。


「ただいまー」


 リズと一緒に通路の方を警戒していたエミリィが戻ってきた。


「はい。お水とビスケットだよ」

「ありがとう!」


 バターを塗ったビスケットを渡しつつ、ビィトがチラリと見ると、リズは鋭い眼差しでトラップの先を睨み付けている。


 しかし、ことさら警戒しているといった雰囲気ではない。


 どうやらオーガの追撃はないと判断し、リズが見張りの態勢を緩めたのだろう。

 彼女自身は今しばらく警戒に当たっているようだが───。


「お兄ちゃん。これからどうするの?」


「そうだね……。鍵の入手はできたから、あとはそれで一気に地上に帰還しようと思う」

「ホント? ようやく帰れるんだね!」


 エミリィは破顔して素直に帰還を喜んでいる。

 ジェイク達は心穏やかではないだろうけどね……。


 なんといっても、ジェイクは今回のダンジョン探索でなんの成果も得ていない。

 それどころか物資の大半を失い、大赤字。


 ビィトはこれでギルドの依頼を達成できたことになるが、ジェイクからすれば酷い失敗なのだ。


 一応、派生ダンジョンの『悪鬼の牙城』を攻略したという功績はあるだろうが、ギルド中を巻き込んだ大救出劇に発展した以上、その被害の煽りを喰らうのは目に見えている。


 だが、それにしてはジェイクは落ち着いて見えた。


 普段の彼ならこういう時はビィトに当たり散らしていたものだが……。


「……ジェイクはこれからどうするんだ?」

「───お前には関係ない」


 刀の刃零れを確認しつつ、にべもなく言い捨てるジェイク。

(ふぅ……)

 やはり共闘はできても、もう以前に様な関係には戻れないのだろう。


「そ、そうだけど……。今回の件もギルドマスターと「鉄の拳アイアンフィスト」とかいうA級パーティのたくらみが原因だろ? もちろん俺も証言するよ」

「は。相変わらずおめでたい野郎だな……。わからんのか? ダンジョンに潜ったのも、連中を雇う決心をしたのも俺だ」


 つまり……。


「───すべて、最終的な責任はジェイクに落ちると?」

「当たり前だろうが」


 そ、そりゃそうか……。


 冒険者は自己責任の商売だ。

 他人を蹴落としてナンボ。

 騙される方が悪い───というのがまかり通る・・・・・世界。

 

 まぁ、それは冒険者に限った事じゃないけどね。

 世知辛い世の中だもの……。


「だけど、今回の件はさすがにお前だけの落ち度じゃないと俺は思うぞ?」


 ギルドマスターがグルになっていたり、

 御国の事情が絡んでいたり───その上、特殊部隊まで繰り出して来ている。


 まぁ、連中も慣れないダンジョンで苦戦しているようだけど……。


「そういう話ではない───もういいから黙れ。何度も言わせるな」


 ビィトを振り返りもしないジェイクは、取り付く島もない。

 実際、彼のことだ。本当にビィトの助けを必要とはしていないのだろう。


 傲慢で見栄っ張り。

 性欲も名声欲も強く、すぐに人を馬鹿にする嫌な奴───。


 だけど、こう見えて、1からS級までパーティを築き上げてきた男だ。

 頭だっていいし、腕っぷしもたつ。

 傲慢さがなければ、人あたりも良かったことだろう。


 ビィトとは違い、1から再起してもジェイクなら再び高みを目指すことができるだけの実力がある。


 だが、彼の最終的な着地点は冒険者のトップにはない。

 

 ジェイクが欲しいのは実績と名声だ。

 誰も成し得なかったことを成し遂げる。という功績。


 それを引っ提げて故郷に凱旋し───。


 あ!

「……も、もしかして、ジェイクは国に帰るのか?」

「何を今さら。……当たり前だろうが。ぶん殴ってきた奴らを俺がそのままにすると思うのか?」


 思わない……。


「ふむ。お前にも関係のあることだから言っておくが───」


 へ?


 疑問顔のビィトに向き直ったジェイク。

「───国が再びひっくり返った可能性がある。ギルドからの通信では断片的すぎて、予想の域を出ないが、もうすでに共和制が崩れたのかもしれん」




「ま、マジ?」





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御国はどうなってるやら?


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『RPG転生!〜ミリオタ幼馴染(JK)と挑む異世界魔王討伐〜』

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