◆第25話◆「なんだかなぁ、ギリギリの戦いだ!」
これは効くだろうッッ!
「「「「ごぁああああああああ!!」」」」
一斉に巻き起こるオーガの兵の悲鳴。
そこかしこで、目を押さえてジタバタと暴れるオーガの兵を見て、ビィトは何とか間に合ったと安堵する。
だけど、
「───馬鹿野郎! 全部じゃねぇ!!」
目をチカチカさせながらも、ジェイクが大声で注意を飛ばす──────ッ!?
「こ、コイツ!!」
低い姿勢で駆け抜けてきたのはシャドウオーガ!
満身創痍であっても、勘の冴えさすがといったところか。
そして、よくよく見ればフェイスガード付きの兜をかぶるオーガナイトにオーガガーディアンも無事らしい。
それに魔法耐性の強いオーガメイジもかッ?!
「ぐ!」
ガキィィイイン!!
ビィトを狙った二刀の一撃!
辛うじて「
ぐぅぅううう……!
「───ふっとべぇぇえ!!」
泡を食って至近距離から魔法を連射しようとするも、発射した石礫をことごとく躱される。
こいつ!
は、はやい!!
ビィトの強化した反応に悉く対応するシャドウオーガ。
というより、近接戦闘が素人級のビィトの予備行動を読まれているのだろう。
シャドウオーガの追撃がないのは!奴が満身創痍だからだ。
もう少し時間があれば、必ずリズが仕留めていたに違いないが……!
「どけぇえ、ビィトぉぉぉお!!」
ジェイクが横合いから乱入し、シャドウオーガの側頭部に鋭い蹴りを入れる。
それは狙い能わず命中し、奴がふらつく。
「お前は雑魚を仕留めろッ! チビは連中にトドメを刺せ!」
ドンッ背を押して、ビィトをオーガナイトとオーガメイジに押しやる。
「ジェイク?!」
「お前よりは戦える! 早くしろッ」
主武器を失ったジェイクだが、火力の衰えこそあれ体の切れは変わらない。
そして、集団でもなければジェイクなら対処可能。
「わかった──────チビってエミリィのことだよな……?」
「う、うん! 任せて」
エミリィは闇骨ナイフを手に、未だジタバタと暴れるソルジャータイプのオーガを仕留めていく。
その間に、オーガガーディアンがジェイクとシャドウオーガの戦いに茶々を入れようとしていた。
「させません!」
スッ──────と駆けていくのはリズ。
まだ手は血まみれだったが、幾分動くらしい。
包帯を使って無理やりに、短刀ごと手に巻き付けるとそのまま切りかかっていった。
オーガガーディアンの一撃を受けるのは不可能だろうが、リズはそもそも攻撃を受けると言った戦い方をしない。
「リズ、任せるよ───」
「はい!」
本音では、彼女が回復してから戦ってほしい。
だけど、戦線はもう崩壊寸前で、今ここにある戦力は、負傷者でも使わねば持たない。
だから───。
アイコンタクトで、全て理解した二人はそのまま分かれると、それぞれの敵に向かう!
「はい!」「うん!」
出来るものが、できる戦いを─────!
「お前らの相手は俺だぁぁああ!」
オーガナイトが連携しつつ、合同パーティを圧殺しようとしている所に、ビィトが突っ込んだ!
厄介なのはコイツらの防御力だ。
フルプレートアーマーに身を包んだコイツ等は、並みの攻撃を弾き返す。
もちろん、鎧とは言え隙間もあるし、そういったところを狙えば勝ち目はある。
他には、鈍器を使う手もあるだろうが、いずれにしてもビィトの手札にはそれらに該当するものはない。
ただ、そこは器用貧乏、手数の多さで負けるわずがない。
「そんな鎧で防げると思ったら大間違いだぞ!」
火もダメ、氷もダメ、石もダメ!
だったら、
「───防げるものなら防いで見ろッ!!」
こいつはどうだ!?
バリバリバリ……!!
俺の「
おらぁぁぁああああああ!!
射線が安定しないため雷系の魔法は扱いずらいのが難点だが、この近距離で、あの図体のデカイ集団ならどこに撃っても当たるっつの!!
「「「ごおあああああああああ!!」」」
密集していたオーガナイトの集団に雷が突き刺さり連中をまとめて感電させる。
つまりどこに撃っても、どいつに当たっても集団がまるごと感電していく───。
「おるぁぁああああああああ!!」
「
バチチチチチチチチチチチチチチチチチチチチチチチチチ……!!
青白い光が何度も明滅し、オーガナイトの集団がダンスでも踊るようにビクンビクンと跳ねている。
だが、まだだ……!
まだまだ……!
コイツ等のタフさは伊達じゃない!!
「うらぁぁっぁあああああ!!」
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