◆第18話◆「なんだかなぁ、突撃するよッ!」

 ───ごぉぁぁぁあああああああ!!!


 ビリビリと空気が震える!

 そして、その数!!!


 何十───いや、かるく百体はくだらない数のオーガの兵士たち!


 それが、だだっ広い部屋で完全武装を済ませて、ズラリと居並ぶ!!

 そいつ等は咆哮の雄々しく、すわッ───ボスを守らんと一斉にジェイク達に襲い掛かってきた。


 ズシン! ズシン! と部屋全体が揺れる────────────も、


「はッッ! しゃらくせぇぇええ!!」


 ドンッッッ!!!!


 と、思いっきり床を蹴り加速するジェイク!

 あらかじめビィトの身体強化を受けているので、その踏み込みの速度はビィトと戦ったときの比ではない!!


 これが100%のジェイクだ!!!


「うらぁぁぁああ!!」

「「「ごる──────ぶばぁぁぁ」」」



 ドッカーーーーン!! と正面から敵集団にぶち当たったというのに、ジェイクの白刃が目にもとまらぬ速さで振り抜かれ、何体ものオーガを撫で斬りにしていく。


 まさに、バッタバッタと切り伏せ、千切っては投げ、千切っては投げの無双状態!!


「す、すごい……」


 ジェイクの戦いを始めてみるエミリィは、呆気に取られている。


「──────あぁ、すごいだろう、ジェイクは……」


 そうだ。

 最強で至高の剣士──────ジェイク。


 どんな敵が出てきても、撫で斬る恐才!!


「アイツは最恐で最強さ─────……!」


 だから、いつも一人なんだ!!


 だけど──────!!


「───ぃけッ!!」


 おう。


「行けッッッ──────ビィぃぃぃぃぃぃぃぃいいいトぉぉお!!!」


 おう!!!


「おうよ──────!!」


 ───おうともさ!!!


 オーガソルジャーのつくる槍衾やりぶすまを、剣戟だけで強引にこじ開けるジェイク!

 さらに、オーガナイトの鎧の隙間から刀を突き入れ絶命させるジェイク!

 そして、オーガアーチャーの射撃を弾き返すジェイク!!

 それを、オーガメイジの魔法を発動させる前に、弾き返した矢で刺し殺すジェイク!!


 このまま、オーガどもを薙ぎ払い突破孔をこじ開けるジェイク!!


 ジェイク、ジェイク、ジェイク!!!


 オーガジェネラルに繋がる道を塞ぐ、最後の集団をジェイクが切り伏せていく───。


「どけぇぇぇぇぇええええええ!!」


「「「ごるっぉぉぉぉおおおおお!!」」」


 そこを圧殺しようとオーガどもが群がるが、僅かに空いた隙間をビィトも見逃さない───!!


「抜けろ、ビィト!!」


 おうよ!!


「「ごるぅぁあああああああああ!!!」」


 ここは通さん! とオーガの兵が肉壁を作るも───……!!


「───押し通ぉぉぉぉぉぉおおるッッ!」


 走りながら闇骨王の杖に火魔法を纏わせ「魔力刃マジックブレイド」を展開し、その隙間をこじ開けていく───!!


「エミリィ!! リズ!!」


「うん!」「はい!」


 身体の小さい彼女たちはその隙間で十分だった!!

 そして、業物の短剣を構えたリズと、闇骨ナイフを構えたエミリィがその隙間を駆け抜け、その走り抜きざまに刃を振るう!


「「たぁぁぁああッ!!」」


「ごるぉぉ?!」「ごぶぉお?!」


 それぞれの隣を占位するオーガの腹を切り裂き倒すと───!!


「お兄ちゃん!」「ビィト様!」


 その小さな手を伸ばし、ビィトの両手を掴むと、引き寄せた──────!!




 そして、


「抜けたぁぁぁああああ!!」

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