◆第4話◆「なんだかなぁ、君らは俺をディスってるよね?」

 エミリィの提案を聞いて仰け反るビィト。


「む、むむむむむむむ、無理だって!」

「で、でも、これならジェイクさんも納得するし、リズさんも救われるよ?」


 そうかもしれないけど……。


 ただでさえ、エミリィを奴隷状態で飼っていると思われているビィトは、街の一部で『鬼畜ロリコン』なんていう、クソありがたくない二つ名を授かっている。


 この上で、リズを──────?!


 む───、

 無理無理無理無理無理ぃぃい!!


「何の話をしている……! いい加減、鬱陶しいから帰れッ!」

 ジェイクは苦々しく吐き捨てるも、力尽くで追い返す気力は無いようだった。

 強化薬の反動は思ったより深刻なようだ。

 いや、それ以上に飢餓のせいか。


 はぁ…………。


 しょうがないよな……。


「聞いてくれ、ジェイク───提案がある」

「俺には、ない」


 ジロリとビィトを睨み付けるも、その目にはほとんど力が残っていなかった。


 くそ、

「───聞けよ。………………えっと、」


 ポリポリと頭を掻きつつ、なかなか言い出し辛いな───と、唇をかみしめるビィト。

 だって、これから言うんだぜ?


 ベンばりにさ……。


「ち……、なんだ?」


 うん。

 しゃあなし……。


「あー。その、なんだ。物資のかわりに、リズを売ってくれないか───その……、言い値でいい」


 きっちりと、最後まで聞いた後で怪訝そうな顔をするジェイク。

 リスティも加えていた堅パンをポロリと落とす。


 リズに至っては驚いて硬直しているじゃあないか。


 三人をして、目をパチくりと───。


 エミリィだけは、提案したくせに口を尖らせているし……。


 なんでやねん!?


 ───え?

 なんか俺、悪者っぽくない?


 いや、何か言ってよ皆。

 ねぇ!


「────────────……そういう趣味があったのか?」


 ジェイクは一言、憮然とした顔で言う。


 っていうか、そういう趣味・・・・・・ってなんだよ?!

 どんな趣味だよ?!


 言ってみ!

 聞いたるわッ!


 ほらぁ!

 リズ可愛いじゃん!!

 普通の趣味じゃね!?


 って…………。


 いやいやいやいやいやいやいや!!

 そういうんじゃないから!!


「───ちげぇっっっっつーの!!」


「兄さん、最低」


 お・前・が・言・う・な!!


「お兄ちゃん不潔」


 アンタの提案でしょうが、エミリィちゃぁぁぁあん?!


「わ、私なんかが、その……」


 リズちゃんは、何を顔を赤らめとんねん!

 可愛いな、こん畜生!


 って、ちゃうちゃうちゃうちゃう!!


 あぁ、もう!!


 わかれや!!

 わかってくれや!!


 奴隷や人身売買に見せかけた、物資提供の手段でんがな!!


 こうでもせんとジェイク納得しないだろう?!


「あああああああ、もう!!!」


 どいつもこいつも!!


「俺を何だと思ってるんだよ!」


「「ロリコン?」」

「「ご飯くれる人?」」


 うん……。

 ジェイクとリスティはあとで覚えとけよ……。


 そんで、エミリィちゃんと、リズちゃんや───君らもあとでちょーーーーっとお話しようね。


 うん。

 泣いていい?


 俺の評価酷くない………………?







「ふざけんなし!!」

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