★第85話★「なんてこった、これでも食らぇぇええ!」
「ジェェェェェェエエエイク!!」
喉が張り裂けそうになるほどの絶叫!
口が割れ、歯が砕け、鼻が折れ曲がり、顔面が陥没していてもビィトは叫ぶッッ!!
怒り、
哀れみ、
悲しみ、
妬み、
そして、また怒り!!!
もう、許せない!!
もう、許さない!!!
もう、許してやらない!!
殺す気で来るなら、殺されても恨みはねぇだろ!?
俺だってな……。
俺だってな───!!
「───俺だって、お前に言いたいことが山程あるんだよ!!」
ブフゥゥウ!!
と、口に溜まった血を、思い切りジェイクに吹き掛けるビィト。
「ぐ?!」
夢中で拳を振るい続けるジェイクは反応が遅れ、まともにそれを食らう。
「お前は、ほんっっっっっっとうに嫌な奴だよ!!」
ビィトの手に魔力が宿る。
耐えに耐えに耐えに、耐えてきたビィトの激情が爆発する瞬間だ!
そりゃあそうだろ?!
散々コキ使っておきながら、ろくに報酬も払わず、ダンジョン探索から帰ってきたら、いきなり罵倒された挙げ句パーティをクビにされた!
さらに、金も巻き上げ、成り行きで奴隷になってしまったというのに、声も掛けず放置。
オマケに遭難したって聞いたから心配で助けに行ったら、仲間を食うとか言いだし、目の前でリズを殴り、
これでキレないなら、人間に感情なんか必要ない!!!
だから、ビィトもジェイクに容赦などしない!
もう絶対、一切の遠慮もしない!!
でも、命だけは助けてやるぁぁぁああ!!
(───これでも食らえッ!!)
この状況で使えるたった一つの魔法がビィトの手に宿る。
火も危険、水は意味なし、氷はなお危険、小爆破じゃ自爆もいいとこ──────。
だけど、これなら最小限の被害で済む。
滅多に使わない雷魔法だ!!!
ちょっと痛いけど、我慢しろよ───!!
「目を覚ませ、このアホぉぉっぉおおおおお!!」
文字通り血反吐を吐きながらも、ビィトは「
下級魔法で低威力の雷魔法の「鳴雷」。
威力の加減が難しく、使い勝手が悪いけど───こいつは、水分の中をよく通るんだ!
両手の手にバチバチバチッと、電気を纏うと、そいつをォぉォおおお!!
「おらぁぁぁぁあああ!!」
バッチン!!!
「んがぁぁぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
一瞬、ビィトにも床のオーガの血から流れたそれが体を走り、激痛が苛む!
だが、それ以上に全身をオーガの血で濡らしていたジェイクは、更に悲惨だ!
バリバリバリバリバリバリ! と電気がジェイクの体を駆け巡るのがよく見えた。
それはそれは、見事に直撃。
なんせ、頭の先から足の先まで血塗れのジェイクだ。
青白い電撃が一瞬にして彼の全身を満遍なく舐め、激痛と電気ショックを与える。
ジェイクは、目を白黒させ、「───かはッ」と、小さく息を吐いて髪の毛の先まで爆発させていた。
そして、
「こ、の、ぼ、けッ───」
最後まで悪態をついてユラーリと背後に倒れ───。
「───るか、くそボケェェェエエ!!」
ガッスン!! と、右ストレートをビィトに放ち、まだまだ元気に反撃!!
だけど、さすがに威力が落ちており、ヘロヘロパンチだ。
「しつッこい……!!」
耳や鼻や口から煙を噴いている姿は間抜けだし、なにより目が完全に回っている。
どうみても、重傷だし限界だろう。
だが、倒れない。
ジェイクは倒れない。
ビィトの前では倒れない!!
おれは、
「───意地でも倒れないッッッ!!」
「───だったらよぉぉぉぉお!!」
プッツンしちゃったビィト君。
力の抜けたジェイクの下から抜け出すと、彼の顔面をグワシ!! と掴み、腰を落として思いっきり振りかぶると─────……。
「こっからは、ガチンコ勝負じゃぁぁぁぁあああ!!」
おうらぁぁぁぁぁああああ!!!
腰の入った右ストレーーーーーーーート!
それがぁぁぁぁあ、
ぶわぁぁぁぁぁぁぁあっっっきぃぃぃぃいいいいいん、と!!!
ジェイクの顔面に命中!!!
「へぶわっっっっっっっ!!」
ジェイクの顔面が「*」みたいに陥没して、部屋の隅までぶっ飛んでいき壁にぶち当たって、床に激突!!
「───うぎょわぁぁぁあ!?!?」
さらにバウンドして天井まで跳ね上がり、叩きつけられた後に、ベシャリ! と床に無様に落ちて沈む……。
「───ハッ! 効いただろ?! 健康優良児のニコニコパンチ
やっべぇぇぇぇぇぇぇ……………………。
ジェイク殴っちゃったよ──────。
これ、
超、気持ちいいぃぃぃぃいいいいいいいいいいい!!!
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