◆豹の槍26◆「なんで勝てない!?」
「お前の方が出鱈目だろうが!!」
高位魔法使いのほうが、ダンジョンでは戦力になるかもしれないが───。
俺は……はっきり言ってコイツの方がよほど
魔術師という特性上、彼らは前衛を張ることができない程、
誰かが常に守ってやることが前提であり、
そして、ようやく隙を見て大魔法をぶっ放す!!
それが普通の魔術師だ。
普通なんだぞ? それが!!!
ところが、こいつはどうだ───……!!
魔術師のクセにアホみたいな荷物を背負って平然としているわ。
あまつさえその状態で縦横無尽に駆けまわりやがる!
そのうえ、魔法を連射だぁぁぁぁぁあ?
ばっっっっっっかじゃねーーーーーの?!
「お前みたいな魔術師がいるか!」
「そこまで言うか!?」
ばーーーーーーーーーーーーーか!
褒めてんだよ!!
「ジェイクは、いっつもそうだ!! 何かっていうと、俺ばっかりに押し付けるし、俺ばっかり雑用させるじゃないか!」
「それは適材適所ってもんだ!!!!」
あたりまえだろうが!!
俺が荷物背負ってたら、誰が前衛を張る?!
リズが背負ってちゃ、誰が索敵と探知をする?!
バカ女のリスティに、そんなアホみたいな体力がねぇぇぇぇぇぇんだから、お前しかいないだろうが!!
雑用?!
お前が、できるからだろうーーーーーーーーーーがーーーーーーーーーーーーー!!!
俺に料理を期待するな!!
リスティが作ったら死人が出るわ!!
リズの作ったものは味がねーーーーーーーーーんだよ!!
シャワーも、洗濯も、乾燥もーーーーーーーーーーーーーーーー!!
お前が下手に何でも出来るからだろうがーーーーーーーーーーーー!!
そりゃ、使うわ!!
そりゃ、便利だわ!
そりゃ、頼りにしちまうわ!!
お前がいれば、その気になればダンジョンくらい踏破しちまうわーーーーーーーーーーー!!!
でもダメだっつーーーことくらい気付けや!!
お前も知ってるだろうが!
俺の目的は名声だ!!!
お前の名声じゃない!!!
俺の、俺による、俺のための、ダンジョン踏破と言う偉業が必要なんだろうが!!
それは、お前も知ってるだろうーーーーーーーーがーーーーーーーーーーーーー!!
国で俺が家を再興せにゃ、お前んチにも影響出るってわかってんだろうが!!
お前が単独で家を再興できるわけもないし、しても何の意味もない!!
「お前が、あんまりにもアホだからだろうーーーーーーーーーーーーがーーーーーーーーーーーーーー!!」
「言い過ぎだろうが、バカジェイク!! もう許さん───!!」
一発ぶん殴る!!
そう言って、ビィトが拳をボキボキ鳴らし始めた。
くそ……やりにくい……。
どうやってコイツを倒せばいい?
峰打ちがどうとかいう次元じゃねぇんだ……コイツの場合は。
ふーーーーふーーーーー、と荒い息をつくジェイクだが、先の展望は全く見えない。
ジェイクには、勝ち筋がまったく見えないと言うのに、負けるビジョンだけは無数に見える。
やっぱり、コイツを放逐したのは間違いだった……。
ジェイクは素直にそう感じていた。
いや、最初から分かっていた───。
いつもいつも、俺はこうなんだと……。
口が悪いし、短気で浅慮だ。
時と場所さえ選べば、最高の頭脳を発揮できるだろうが、とにかく、俺以外の人間が原因で起こる失敗は我慢がならないんだ!!
だから、ついビィトに当たってしまうし、リズにも辛く言うことがある。
頭空っぽのリスティはどうでもいいが、ビィトの奴は優秀なくせに、卑屈ですぐ謝る。
だからだ!!
だから悪いんだ!!
───ああああ違う!!
分かってる。
わかってる!!
わかってるっつの!!!
俺が悪いんだ!!
そうさ、全部が全部俺が悪い!!
だいたいなぁ! リーダーなんて向いてないんだよ、本来!!!
だけど、ビィトに今更頭を下げれるか!!
そもそも、なんで出ていけ何て言ったか、今となっちゃその時の原因すら思い出せねぇよ!!
でも、ビィトもビィトで、俺がギャンギャン言っているときはヘコヘコするな!!
調子に乗ってエスカレートするだろうが!!
止める人間なんて俺のパーティにはいないんだっつの!!!!!
あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーもーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!
俺は、
だけど、今となっちゃ──────。
もう知るかッ!!
御免、言い過ぎた。昔のことは水に流そう───来てくれてありがとう……!
って言えばいいだけさ。
ビィトなら……。
このお人好しで大馬鹿野郎なら、それで許してしまう事を嫌というほど知っている!!
知っているけど─────────。
「言えるわけねーーーーーーーーーーーーーだろーーーーーーーーーーーーー!!!」
シャキン!!
ジェイクは代わりに刀を構える───。
ビィトの反撃に備えて、全て捌いて見せるぞ、と構える。
すでにその時点で攻防がビィト側に移っていることに気付いていながらも構える──。
いずれ訪れる、敗北の結果を少しでも先延ばしにするために…………───。
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