第22話「なんてこった、まとめて吹っ飛ばせる!」
構えるビィトの前には、もの凄い数のダークスケルトンがいた。
《 《 《ギギギギギギギギギ…………》 》 》
ビィトを捕捉した奴らは一斉に骨を鳴らす。
そして、
カチャ、カチャカチャ……! と、気味の悪い軋み音を立てながらビィトの命を奪わんと──! 大量のダークスケルトンが迫りくるッ。
手には骨の棍棒、骨の剣、骨の槍!────ぐ、ここのダークスケルトンは得物を持っている奴が多い?!
「ち……! 厄介だな」
素手でも十分に強いというのに、武器まで持ってこられると白兵戦では勝ち目がなさそうだ。
だが、今は──────。
「俺もさっきとは違うぞ! あいにく場所が悪かったな」
ガラガラと音を立てて崩れる骨の山に、骨の絨毯。
それはもう、呆れるほどの量と無秩序さ。
──そう…………大量の
そこをかき分けるようにしてダークスケルトンどもが迫るも、その鼻先に目がけて……──。
整理整頓ッ!
「──骨はしっかり片付けとけぇぇ!!」
地面に散らばる大量の白骨に目掛けて魔法を撃ちこむ。
そうとも、
ゴールデンスライム戦で編み出した、障害物を利用した散弾攻撃だ!
「らぁぁぁぁぁああ!!」
まずは小手調べ。
────得意のぉっぉぉぉ……。
小爆破!
──ッズドォォオオン!!
地面に起こった爆発が前方に撃ち込まれて着弾。爆心地の骨を撒き散らす!
その爆心地にまともに突っ込んだダークスケルトンの一団が、数体まとめて吹っ飛んでいった。
爆発により吹っ飛んだわけではない。
だが、思ったより爆発が小さい。
これは……。
(く……少しダークスケルトンに命中してしまったのか!)
小爆破の魔法を奴らに命中しない位置の、ギリギリを狙って放ったつもりだったが……、少しばかりダークスケルトンに当たっていたようだ。
骨片が奴らに当たるのはいい。
だが、魔法が命中した場合は吸収されてしまう。
今の爆発の感じだと、魔法の半分くらいはダークスケルトンに命中しており、それらは吸収されてしまったのだろう。
だが、ほぼ狙い通りだ!
そして、威力は上々!
熟練度を最大にまで鍛え上げた魔法。かつ魔力を最大限にまで籠めた『小爆破』は爆発の規模は小さいものの、威力だけは強力無比!
堅い地面も壁も、なんなく砕く威力だ。
その爆風を喰らって撒き散らされた骨と地面の構造物が、ダークスケルトンを襲う。
吹っ飛んだ連中は哀れにも空中でバラバラになっていた。
「────よっし、効果あり!」
やはり、直接魔法をぶつければ吸収されるが、途中に物理攻撃を挿めば効果があるようだ。
これは、やはりゴールデンスライムとの戦いでの経験が生きている。
そうと決まれば────……連射だぁぁ!!
キィィイン……!
ビィトの周りに魔力が集中していく。
左手の魔法はもとより、右手に構えた棍棒からも魔法を行使する。
そして、
その上で、ピンポイントの狙撃も可能となる!
当然自分には被害を及ぼさないように「
爆炎は離れているので気にしなくてもいいが、骨の破片はどこに飛んでくるかわからない。
準備オーケー!
レッツ、
パーリィィ!!!
「ぶっとべぇぇぇぇえ!!」
ズドォォォン! ズドォォォオン!!
からーのー……!
突撃─────そして、突破だ!!
おらぁぁあ!!
連射……開始ッ────!
骨を割り砕くほどの勢いをつけてビィトは駆ける。
その間も疾駆しつつ前方に向けて乱射!
目の前に展開した風の盾が、魔力の緑の光を淡く発光させながらブルブルと震えている。
かなりの破片が「狼狽え弾」となって撒き散らされているのだろう。
危なっかしくてビィトが単独でいるときしか使えない強硬技だ。
そして、危なっかしい人そのままに、まるで爆走する馬車のごとくビィトが駆ける!
雄叫びをあげてダークスケルトンの群れに飛び込み、骨の絨毯を強化した脚力で踏み砕きつつ、小爆破を乱射に次ぐ乱射、そして乱射ッ!!
まるで爆発が作る道だ。
進行方向にむけて小爆破のつくる道────そう、爆撃の道ができていく。
そして、落ちた爆撃は散らばる骨を打ち砕いて大型の散弾とする。
爆発の余波を喰らった地面の骨が物凄い勢いで飛来し、ダークスケルトンどもを次々に切り裂いていった。
「おらおらおらおらおらおらおらぁぁぁぁぁぁっぁあ!!」
どけぇぇぇぇぇぇぇぇえ!!
────エミリィぃぃっぃぃぃいい!!
ビィトが疾駆する速度が思ったよりも速く、ダークスケルトンどもが追い付けない。
障害となるのは正面で道を塞ぐ個体のみ。
そいつ等もビィトの小爆破の着弾により次々に破壊されていく。
魔法が当たった個体もいるが、威力はいくらか吸収されて減衰するも地面に着弾するたびに、骨片を受けて破砕。
そして、ダークスケルトンを何体も切り裂いていく。
魔法防御力が高く、さらには吸収はできるようだが、それでも破片までは防げないらしい。
「──どけぇ!」
たまたま、うまい具合に爆破から逃れたダークスケルトンがビィトの前に立ちふさがった。
ずいぶんと幸運に恵まれたらしいその個体は破片をことごとく避けていたらしいが…………。
だが、……それがどうした!!
地面に落ちている頭蓋骨を一つヒョイっと手に取ると盾のように掲げる。
そのまま────。
「こういうのはどうだ!」
キィィィン……!!!
ビィトの手先に魔力が集中。その先に……石礫を生成──!
モリモリと石礫が手の中で顕現していく。
ただし、それは手に持つ骨の中にだ。
みっちりと、やや密度の低めの石礫を頭蓋骨の中に生成すると、そのまま────発射!!
《ギギギギ────》パカァァァァァン!!
命中と同時に、肋骨に大穴が開き四肢が吹っ飛び砕け散るダークスケルトン。
残った下半身もガラガラと崩れ落ちていった。
やはり、魔法吸収は魔力と魔力が接した時のみ有効らしい。石礫も氷塊も一見して物理だが、あれはあれで魔力の塊なのだ。
それが故に、ダークスケルトンの瘴気に吸収されるが、物理には効果がないらしい。
石礫を骨に包むやり方は有効。
障害物さえあればいくらでも戦える!
そうさ……魔術師が魔法だけと思ったら大間違い!
地形、敵情、全てを読んで戦えばやりようはある。
どんなものでも徹底的に利用するのだ!
だからさ、
「…………どけッッ! 雑魚どもが!!」
あれ程苦戦したダークスケルトンが今や見る影もない。
魔法を地面に乱射するビィトの前にろくに近付けもせずに次々に沈んでいく。
だが、疾駆するビィトの前に────、
《ィィィィィィィィイイイ!!》
突如ビィトの目の前に、青い炎を纏った骸骨が躍り出た────こいつぁぁぁ……。
ダークファントム!
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