第一章 淡雪
壱
「だいぶ冷えてきたな…」
そう言って皇帝―煌
ここは、
その山々の中腹に築かれた宮城。
鏡水は机の文書を束ねて隣りにいる側近の青年に手渡した。
「お疲れ様です、陛下」
青年はにっこりと微笑む。青年の名は
「なーお」
机の下にいた白猫が机の上にぴょんと飛び乗り書きかけの書類に乗る。
「こら、
「にゃあ」
花麗と呼ばれた猫は返事でもするように鳴くと、机から飛び降り鏡水にすり寄る。
鏡水は立ち上がると椅子にかけて合った上着を羽織る。
「これからどちらに?」
「
水鏡は少しばかり呆れたように肩をすくめる。
「お好きですねぇ」
「お前は?どこか行くのか?」
「えぇ、そうしようかと思ったんですけど、陛下が緑蓮皇女殿下のところに行かれるのでしたら護衛いたしましょう」
そう言って
歩き出そうとした鏡水に花麗もついて行く。
「なんだ、お前も来るのか」
「なーお」
「今日は一日中帝にかまってもらえなくて寂しかったんですって」
鏡水は緑蓮のいる
10数年前、二人目の賢帝とも称された天還帝が突然崩御。天還帝は皇太子を決めることなく崩御してしまった。天還帝の皇子は幼く即位は難しい。それゆえに天還帝の異母弟である陽世帝が即位。だがこの8年後、もう1人の異母弟のちの陰世帝が起こした内乱により、陽世帝が崩御。即位した陰世帝はわずか3年後に崩御。怒涛の勢いで皇帝が変わり、天下は不安が広がっていた。陰世帝には皇子いなかったため、陽世帝の皇長子が立太子にならび即位することが決定した。
皇子は名は、
弓に夜明けを乞う君よ 玉うさぎ @yukitoa
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