DAY14 地図
「「私」は「わたし」について知っている人のところに行きたいです」
そういえば、この少女ちゃんは記憶喪失だって言ってたな。
「僕は少女ちゃんについて知らないことの方が多い。誰なら知ってそうなのかとかがわかればいいんだが……」
「心当たりはあります。この星に連れてきてくれた人です。“何かわからないことがあったらここに来るといい”と言ってくれました」
それを早く言って欲しかった。
「だったらその人に会いに言ってみよう」
静かに、まるで居ないかのように僕と少女ちゃんの会話を聞いていた彼女が、ゆっくりと立ち上がり、
「君が行くのなら僕も行こう」
と言い出した。
その言葉を受け止め、驚き、冷静さを取り戻してから、僕はようやく言葉を口にする。
「お前が外に出るなんていつぶりだ? 僕の記憶にはお前が外に出ているときなんて……」
「言葉を遮って悪いがそれ以上は言わなくていいよ。確かに、僕が此処から出るのは、かなり久しぶりだ。だからといって僕がついて行っちゃいけないのかい?」
「いや、そういうわけではない、な。まぁいい。それでだが、少女ちゃん、その人はどこに居るんだ?」
「ここです」
少女ちゃんはその小さい手で手描きの地図を差し出した。
僕と彼女の不思議な日常 バル@小説もどき書き @valdiel
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