DAY13 夢

「僕が、何者かって?」

 彼女は不思議そうにそう聞き返す。

「ああ、お前は何者なんだ?」

「僕は……」

 彼女はそこで一度言葉を切って、

「君の幼馴染で友人のただの人間だよ。また変な夢でも見たのかい?」

 僕は覚えていることを、何一つ隠さず、彼女に話した。といっても覚えているのは彼女の出した黄金の円だけだけどな。

「それはまたおかしな夢をみたものだね。でも残念ながら、僕はそんな人間離れした特殊な能力は持ち合わせていないよ。そんな人知を超えた不思議な力が僕にあったら真っ先に君に言うとは思わないかい?」

 そう言われてみればそうである。こいつのことだから面白がって使いまくっているだろう。そんな状況なら僕が知らないはずもなく。

「それでも、確認したくなるぐらいな“夢”だったんだ」

「“夢”というのは不思議なもので、とても現実味を帯びているんだ。夢と現実の区別がつかないぐらいにね。しかしながら“明晰夢”というものは夢を夢だとだと気づく事だと言われている」

「つまり、“夢”っていうのは最も身近な不思議、ってことか?」

 そう言いたくなるのは僕だけではないだろう。

「最もかどうかはさて置いて、身近な不思議ではあるだろうね。そもそも夢とは何故見ているのか昔から色々な説があって、未だに解明はされていないんだ」

 なんでも知っていそうな彼女が分からない、というのは珍しいかもしれない。

「僕はそれでもなんらかの意味があると思うんだ。人間というのは想像もできないような“力”を持っているからね。人間は100%の力は出せないようになっているんだよ。では、もし人間が100%の力を出したらどうなるのか、ここに夢を見る謎が隠されていると思うんだ。何らかのメッセージだったりね」

 寝起きにはきつい話だ。キャパオーバー待った無しだ。早いとこ話題を変えなくては。

「ところで少女ちゃんはどうした?」

「そこにいるよ」

 彼女が部屋の奥の方を指差す。

「はい。「私」はここにいます。……ダメ、でしょうか?」

「いや、そういうわけでは無いんだが。どこか行きたいところはないのかい?」

「いえ、「わたし」はこの星についてあまり知らないので、そういうのは無いです。」

「そう、か」

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