ヒロイン名鑑1:舘野由麻
これまで書いてきた作品のヒロインを作者自ら振り返るシリーズです。
ネーミングの由来や人物像、思い入れなどをほろほろと、ネタバレのない範囲で綴ります。
第1回目は『炭酸水と犬』より、
web小説としては処女作である『炭酸水と犬』ですが、10万字越えの長編を書くにあたり、ヒロインに感情移入しすぎないようにしようという明確な意志がありました。
素敵な名前にしすぎて「この子を苦しめたくないっ!」などと思ってしまうようでは執筆に差し障るため、その匙加減は絶妙なものが求められたわけでした。
憧れる名字や名前のストックはたくさんあるけれど、凝りすぎないよう、でもそこそこ個性的であるよう、考え抜いて命名しました。
「舘野」は「館野」と間違われて苦労しそうだなあと思いつつ、そんな小さな苦労を背負っていることが由麻本人の後天的性格にも反映していそうで、リアリティーを持たせる一助になるかな? などと。
「由麻」は甘くも辛くもない、すっきりしたいいネーミングになったと思います。
スケバン刑事三人姉妹のひとり、中村由真を若干イメージしたとかしないとか。あ、歳がばれる。
自分はもともと名前というものに非常に興味を持っており、名字の全国分布を調べたり、名字と名前の相性についてひたすら考えたりするような習性を持っているのですが、物語の作中人物のネーミングに表れる作者のセンスというのものにもそれはそれは関心を持っています。
web小説を読む際、人物たちがキラキラネームだったり凝りすぎた名前だったりするだけで「うっ……」と敬遠してしまうことがあり、逆に「いやもっとあるだろ」と思うくらい(それを狙った意図はなく)凡庸な名前ばかりでも引き出し少なそうでちょっと引いてしまったり、とうるさい人間なので、いざ自分が決めるとなると考えすぎてしまいがち。
脇を固めるキャラたちの名前に関しても、よくある名前と珍しい名前のバランスに気を遣ったりしています。
その辺は自己満足でいいのだと思っています。
さて由麻本人についてですが、「背丈は日本人女性の平均よりやや高い」「英語がそこそこ得意」「外資系工場に勤めている(いた)」あたりは完全に自己投影してしまいました。
自分自身とまったく異なる位相にいるような人物を語り手に据えることは、わたしにはまだ難しそうです。
LIPTONのミルクティーもめちゃめちゃ好きですが、さすがにここまで常飲していないです(笑)。
他の部分に関しては創作ならでのオリジナリティーを持たせたつもりですが、どうしてもあちこちに自分の趣味嗜好が入りこんきてしまい、それらを完全に排除するのはやっぱり難しかった。
盲目的なところと思慮深さの比率などはそこそこ上手く描けたように思うけれど、ひとりの男性に長く愛されてきたという設定のためには十人並みより優れた容姿にしなきゃ……などと考えるうちにご都合主義も混じってしまったかも。
長編小説を書くにあたり、作者の執筆のモチベーション維持のために主人公をある程度魅力的にするというのは、少なくともアマチュアであればありかなとわたしは思います。
由麻に関してはいろいろと辛い目に遭わせてしまったし、ビジュアルに関してはちょっと甘やかしてあげました。
でも派手さや艶やかさでは由麻を上回る美人である長谷川さんという元モデルの女の子も配置してみたり。
一度でもモデルを経験している女性が脂っぽい仕出し弁当なんか食うかよ! という突っこみがいつ入るかとびくびくしていたな、長谷川さんに関しては(笑)。
髪型は肩甲骨に届くくらいのふわふわウェーブで、でも終盤でさらさらストレートになりました。
番外編では、最終的に肩より短くなっていますね。
今頃はどんなへアスタイルで生きているのでしょうね。
ちなみにですが、作品のイメージ画みたいなものを描かれることを嫌う書き手さんもいるようなのですがわたしは大歓迎です。
もしイラストの得意な愛読者様がいらっしゃいましたら、いつでも何でも描いて教えていただけると嬉しいな。って、そんな稀有な方いらっしゃらないとは思いますが、今後のために。
最後に、需要のない作者語り。
わたしは昔、11年間ひとりのひとと付き合っていました。
その長い年月の中で、ファーストキスから処女喪失から同棲から遠距離から婚約から、およそ恋愛にまつわるほぼすべてのコンテンツを経験したかなと思います。
同棲期間は2年間だけでしたが、やっぱりマンネリはありましたし喧嘩の絶えない時期もありました。くだらない痴話喧嘩で警察を呼ばれたこともありました。
由麻と和佐は、よっぽどうまくやっていたのでしょうね。
アサミが現れるまでは……。
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