都市計画管理部限界区域対策課

作者 有木 としもと

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★★★ Excellent!!!

物語の舞台となるのはAIの利用が進んだ未来社会ですが、
この作品の本質は現代社会への分析だと感じました
未来から見る、という形で俯瞰的に現代の私たちを表現しています

この、現代社会と人類への分析が驚異的に素晴らしい
ユーモアを交えつつ問題点が最高に分かりやすい
作者さまの深い思考に触れられる作品です

★★★ Excellent!!!

 この小説は、現代社会に対するメタから成り立った世界観に始まり、そして登場人物達がその世界観に対するメタを突き付けていく。
 いま我々が生きる世界を、とにかくまるごとメタってしまったようなこの世界観と物語が伝えるメッセージは、正にメタの極地のように思えて深く突き刺さる(個人的には、Vaporwave的なパラドクス感も感じられた)。

★★★ Excellent!!!

限界集落の立ち退きに従事する地方公務員を主人公にした視点が、まず独創的です。

生活に不便な限界集落にあえて暮らす"平成生まれ"の高齢者たちは、頑固だったり、偏屈だったり、変わり者ばかり。そんな気難しい人たちの理不尽な要求に役所が振り回されるのはいつの時代も変わらない。

部署に配属されたばかりの新人の井沢は、物心ついた頃からAIに接して成長したAI世代の若者で、理解不能な思考や執着を持った老人たちの対応に四苦八苦する姿が可笑しい。

もちろん、読者の私たちから見れば、高齢者たちの考えのほうが当たり前の常識だ。しかし、未来の若者には古い常識は通用しない。昔の人々は、なんと非効率、非論理、非寛容な人間かと井沢が呆れてしまうのもわかります。

現代社会の矛盾を突いた掛け合い、社会風刺の利いた世界観にニヤリとさせられる。

時代の変化に抗う限界集落の人々の姿から、いまの社会から失われつつあるものに気づきます。

人間とはなにか、社会とはなにか、限界集落から世界の本当の姿を映し出す、社会派な作品です。

(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=愛咲優詩)