第17話
藤川とは、メールも来なくなり、連絡をこっちからすることもなかった。前にメールした時は、高校を辞めると言っていたがまだ通っているらしく、妊娠していることも周りにはまだ気付かれていないと本人は言っていた。僕には話を聞くくらいで、どうすることもできないとまた自分に言い聞かしていた。
高校3年の夏。部活も引退し、人生2回目の受験がもうそこまできている。朝は補習を受けるために今までの時間より2本早い電車に乗って学校へ行っている。あと変わった事といえば、なんと林さんと付き合いだした。自分でもびっくりしているがこっちが告白したのだ。林さんが好いてくれていると気づいてから、僕もきなり出していた。
付き合うまでには色々あった。誕生日には部活終わり、急に呼び止められたかと思ったら、恥ずかしそうに、さっとプレゼントだけ渡してくれたり、林さんが虫垂炎になり、入院した時もあった。僕は先輩についてきてもらいお見舞いに行った。そしてその日に告白した。それからもいろんなところに遊びに行ったり、部活引退まではデートを楽しんだ。部活を引退してから、帰りは一緒に帰るようになった。
「お待たせ、待った?」
優美が部活を終えて校門まできた。
「いや、さっき来た。待ってる間勉強が進むよ。」
一緒に帰ると言っても、電車は反対方向なので駅に着くまでの間だけ一緒に帰る。話しながら歩いているとすぐに駅に着いてしまう。
「じゃあな、また明日。」
「うん、じゃあね。」
優美から誕生日にもらった時計で時間を確認する。電車が来るまでは、20分くらいある。僕は単語帳を開いて、勉強した。
メールが来ていないか確認する。
新着メール:1件
誰からか確認する。藤川だ。
「ん、久しぶりだな……」
なんとなく嫌な予感がする。
藤川:赤ちゃん、流産した。彼氏とも別れた。
「っ……!」
内容に僕は絶句した。とにかく、返信した。
僕:そうか。なんて言ったらいいのか……大丈夫?大丈夫じゃないか……
前回のメールから3ヶ月ぐらい経っていたが、その間になにがあったのか話を聞く。順調にいっていたはずだったが、突然、倒れ救急車で運ばれたらしい。原因は分かっていなかった。彼氏とはメールの後から徐々にうまくいかなくなっていたようで、1人で産んで育てていこうとしていたようだ。
僕:何かあったらなんでも言ってよ。
とだけメールして終わった。なんともいえない気持ちになっていたところに電車がちょうどやってきた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます