第10話
「楽しいよ!好きだから」
へ……?何が起こってる?告白された?
「え、いや、まさかね、無い無い。誰か他の人とも話してて送り間違えた?」
「そうだよ、きっとそうだ」
私は部屋で1人で会話していた。
「とにかく、返信はしなきゃだよね……」
いろいろな文面を考えたがどれもしっくり来ない。もし私にじゃなかったらどうしよう。そもそもこの好きだからってlike?love?どっち!!
「どっちだよ……」
数十分悩んだあげく答えは出ず、へ?(°▽°)とだけ返信した。しばらく待っていると返信が来た。
橘:好きです。付き合ってください。
ふぁっ!きた!これは完全に告っていらっしゃる!どうしよう……私は迷った。今まで友達としてやってきたし、そんな目で見たことがないけど、相談に乗ってくれたり、話していて楽しいし、素でいてられる相手ではある。あともうひとつ。橘君のことを好きな子がいるのを私は知っている。後輩の
そんな子がいるのに、私が付き合うわけにはいかない。でも……好きか嫌いかといわれたら好きなほう……気づけば告白されてから1時間は経っている。いくら悩んでも答えは出ない。告白は嬉しい。でも、優美ちゃんのことも気になる。もし付き合ったと部活で知れれば、なにをされるか分からない。女の世界は怖い。
私はある人に電話をかけた。
「もしもし。先輩?」
「ん?しずか?どした?」
電話の相手は1つ上の木部先輩。同じ中学でかれこれ5年以上の付き合いがある。一通りこの流れを説明した。
「なるほど、でも自分のしたいようにしたらいいんじゃないかな?しずかが告白されて、それを人に気を遣ってって理由で断るのは違うし、好きなら付き合っちゃえばいいと思うよ」
「そうですよね。いきなりこんな電話ごめんなさい。」
先輩との電話を終えて、また1人で悩む。
「返信しないと……すごい待たしてる。」
私は手が動くままにメールの文面を打ち込んだ。
私:えーっと……ありがとう。びっくりした。考えた。
これからよろしくお願いします。
こうして私たちは友達の関係を終え、彼氏彼女になった。
次の日、通学中の電車でこれからどうなるのかと不安と期待でドキドキしながら学校へ向かった。橘くんとはクラスが違う。普段から部活が始まらないと会わないことは多々あった。ドキドキしながらもいつも通りに授業を終え、とうとう部活の時間。体育館に向かう。体育館へ続く廊下を歩いていると、優美ちゃんと出会った。
「こんにちわー。」
挨拶してくれる。私もなるべくいつも通りに接する。
「優美ちゃん、今日も部活頑張ろうね。」
「はい!橘先輩にいいところを見てもらわないとです。」
そうだよね…言えるわけがない。
体育館に入ると急いで準備をして、部内に彼氏がいる状況での初めての部活が始まった。
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