卒業
第6話
「恵一!早くしなさい、入学式間に合わないわよ」
階段の下から僕の部屋に向かって母親が叫ぶ。僕はぶかぶかの学生服のボタンを閉じて、階段を降りていった。
「そんな叫ばなくても分かってるわ、クソババア」
母親に反抗期を爆発させて、急いで家を出た。僕は高校生になった、電車通学に変わり、駅までは自転車で行く。自転車で20分かかる道のりを初日から物凄い勢いでこいでいく。
「ハァ、ハァ……なんとか間に合った」
この駅から2駅先が高校の最寄駅だ。
高校につくと、校門の前で幸太が待っていた。
「恵一、遅せーよ」
「わるい、わるい」
2人で体育館に向かう。体育館までの道のりでいくつもの部活が勧誘をしていた。
「高校にもなると気合もすごいな、女子新体操部とかあるぞ」
幸太は感動しているようだ。きっと変な想像をしている……。
「まぁ僕らは決まってるけどね」
僕と幸太は中学の時から、ここの先輩に誘われていた、バレー部に決めていた。体育館につき、整列をして入学式が始まった。初めて校歌を聴く。そのあと、校長の話が始まる。やっぱり、どこの校長も話は長い。なんでこんなに興味のないことがどんどん出てくるんだ。10分も続いた校長の話も終わり、式が終わった。その後、教室で担任の紹介があり、解散になった。
「高校では、とにかく彼女だ!」
帰り道の途中、幸太が突然宣言をする。
「なんだ、いきなり……びっくりするなぁ」
「お前は中学、告白もされてチャンスがあったけど、俺は全然なかったからな!高校デビューをする!」
びっくりした……何を言い出すかと思えば、こいつは黙ってたらそこそこかっこいいのに。
「そうか、頑張れよ」
「うわ、お前のその余裕。これが1度告白された男の余裕か」
何を言ってるんだ、こいつ……
「でも、付き合ってないからな?」
僕は藤川さんとは、付き合うことはなかった。藤川さんに告白された次の日、藤川さんは何もなかったかのように接してくれた。そして卒業まで友達として中学生活を過ごすことができた。高校は別々になり、卒業してからはメールをすることもなくなっていった。
「とにかく!俺は高校ではリア充になる」
そんなことを話していると家につき、高校生活1日目が終わった。
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