第2話
「おい、次の授業なんだったっけ?」
同じクラスの孝太が僕に聞いてきた。佐伯孝太、僕とは小学生の時からの幼馴染だ。
「次は……理科だったかな?理科室だってよ」
僕は孝太と一緒に理科室に向かった。
理科室に入ると、すでにクラス全員がそろい、教科書を開いて座っている。授業開始の5分前、すでに全員が座って待っている光景はものすごく奇妙に思えた。
「……おっと、みんな座ってるぞ、おい」
「すげーな……」
僕と孝太も急いで自分の席に座る。
「なにしてたの?」
藤川さんが僕に話しかける。
「みんなすごいな、すっかり受験モードだね」
昨日のメールの話は一切しなかった。何ごともなく1日が終わる。家に帰ると携帯をチェックするのが日課になった。
藤川:今日も授業大変だったね^^;
僕:そうだね、僕も頑張らないと……
藤川:橘くんは高校どこ行くの?
僕:甲東高校だよ、まだレベルが足りないんだよ
藤川:そっか、高校は別々だね
僕:そうだね、受験がんばろうね
このときの僕は藤川さんが言った意味がまだわかっていなかった。
春香も違う高校に行くことは聞いていた。悲しかったが僕の実力では到底行けない高校だった。春香のことはもうなんとも思っていなかった。毎日同じような日々が続き、受験が終わった。藤川さんとのメールだけは毎日続いた。
僕:もうすぐ卒業だね
藤川:3年間あっという間だった、いろいろあったけど楽しかったよ
僕:楽しかったね
藤川:橘くんは春香のことが好きなんだよね?
いきなりのことで僕はしばらく考えた。
「(どういうことだろう…)」
僕:うーん、今はなんとも思ってないよ?
藤川:実は好きな人がいて……
僕:そうなんだ。
藤川さんは自分のことを話し出した。僕はまだ藤川さんの話が自分のことだとは分からず、なんとなく聞いていた。
藤川:でも、好きな人は2人いるんだ。1人はクラスにいるんだけど、もう1人は全然違う人。最近クラスの方が気になってきて、どうしたらいいかと迷ってて……
僕:そうなんだ、ならクラスの子に告ってみたら?
なんとなく聞いていた僕は無責任に好きと言えばいいとアドバイスをする。
藤川:そうだね……考えてみるよ、ありがとう。
メールでそんな話をしながら、また明日とメールを終えた。
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