終章


国王「勇者よ、そしてその仲間よ、よくぞやってくれた。これでこの世界に再び平和がもたらされた。と言っても何も出てこないけどね。えへ」


え!報酬なし!?


国王「ってのは嘘。もちろん報酬はたっぷりやろう。あ、七色鳥はあげないよ、あれ美味いから」


……良かった。

……姫は七色鳥が食べられなくて落ち込んでるみたいだけど……。


***


姫「あんのくそ髭ジジイめ!!!」

師長「まあまあ、良いじゃないか、それよりも勇者が待ってるよ」

姫「え?……勇者なんか、何ですの!」

姫は頬を赤らめた。

師長「本当に分かりやすいね、はは」

姫「うるさいわね!ぶっ殺しますわよ!?!?」

アスカ「二人とも素直になれないんですから、うふふっ」

勇者「なんのことだ!」

アスカ「す、すみません……」

勇者「ご、ごめん……てか、師長はこれからどうするんだ?」

師長「ああ、私は王から、ここで魔導師として遣わせて頂くことになったんだよ」

アスカ「え、もう離れ離れかと思ってました……!」


アスカの目がキラキラ輝く。心做しか少し頬も赤い……?


師長「うん。離れ離れじゃないよ。ここには大事な人もできたからね。」


ふふっと笑ってアスカの方をみた。……お前ら!


勇者「なんだよー!早く言えよー!」

師長「いやいや、さっき想いを伝えたんだ。きみも伝えたらどう?」


師長がアスカの肩をちょんちょんとつつき、2人は察したようにその場を離れた。


勇者「な、なんなんだよお前ら……」


おれは離れていく師長とアスカを横目に、顔をポリポリかきながら姫の方を向く。


姫「な、なんですの……」

勇者「いや、その……」


何を言おうか……いろいろ模索して、お疲れ、と頭を撫でた。

姫は耳を真っ赤にしている。


「そ、そんなことをしてもいいと

……」


姫が言い切る前に俺は姫を抱き締めた。


「姫、姫なのに……姫には助けられてばかりで……その……」

「もう、言いたいことは簡潔にハッキリと伝えなさいよ!」

げ。しくったか。

「す、すまん……!ええと、、」

「なんですの!」

「好きだ!」

「あ……」

「た、頼りないけど……俺で。いいのなら……」

「本当に頼りないですわ」


そういう姫の声はか細かった。


「でも…………いいんじゃないかしら……」

「え……」


姫は俺を抱きしめ返した。


「私も……そうみたい。」

「え。?!」


心臓がとても、とてもうるさい。


「お、おいー、お前人には言うくせによー、もっとハッキリいえよー」


誤魔化し笑いをしながら姫にそう言った瞬間、姫は俺の頬にそっと唇を当て、「これで分かるでしょ!」

といった。


耳を真っ赤にした姫がとても、可愛かった。

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恋と料理と異世界と 雀羅 凛(じゃくら りん) @piaythepiano

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