第十六章 スゴい"ほこら"

スライムの長ったらしい話を6分の1程聞いて眠りについた俺達は、外が雨がやんだのを確認して井戸を後にした。


師長「曇ってるね」

姫「またいつ降り出すかわかりませんわ……」


どんよりと重苦しい雲が空一面に広がっていた。

疲れは取れたが、気分は重いままだった。

しかしそこに魔物は現れた。


アスカ「このタイミングで……」

姫「まあ、やるしか無いですわね」


各々戦闘態勢に入った。


師長「落ち武者だね。そう簡単には倒せないかも」

オカン「とにかく倒すで!」


オカンがフライパンでぶっ叩いた!落ち武者に15のダメージ!

姫が剣で攻撃!落ち武者に60のダメージ!

落ち武者がアスカに58のダメージを与えた!


や、やばい、死ぬ。

勇者が落ち武者に渾身の一撃!104のダメージ!

落ち武者が催眠魔法を使った!


アスカ「く、くらくらする……」

勇者「なんだ、これは……」


一人一人に30のダメージ!アスカが死んだ!


姫「嘘でしょ!?回復役が死んでどうするのよ!」


アスカは初めこそキズパワーパッ〇を使っていたが、薬草や聖水を使いこなしていき、経験値を上げると回復呪文も習得していた。今ではいてくれないと厳しい状況だった。


師長「仕方ない。とにかくHPが減らないように!」


師長はアイドリュー(攻撃魔法)を唱えた。落ち武者に45のダメージ!


姫「まだくたばらないなんて、しつこいですわね」


姫が足蹴りを食らわそうとしたが落ち武者が避けた!

その隙をついて落ち武者が姫に100のダメージ!

姫が死んだ!


「え!?お前、嘘だろ!?!」


落ち武者がさらに師長に渾身の一撃!師長が死んだ!


「えええええええ!?!?」


まてまてまてまて、俺とオカンしか残ってないぞ!


「みんな、はよ起きや!!!」


いや、もう死んだから無理だよ!起きないよ!

-くそっ!


勇者が落ち武者にパンチを食らわせた!

落ち武者が死んだ!


俺は拍子抜けしたようにその場に座り込んだ。


手強かった。3人も死んでしまった。


「教会へ行かないと……」

オカン「あれ、ここほこらやん。兄ちゃん、休もか」

「え?」


辺りを見渡してみると、ちいさな神殿が3つあった。

戦いに必死で、全く気づかなかった。

神殿は3つ並んでおり、真ん中の神殿の前には、怪しげなゲートがあった。


「なんだこれは」

「うわ、なんか元気出てきたわ!」


そういうオカンはゲートをくぐり抜けてぴょんぴょん飛び跳ねている。

まさか。


「体力回復したのか?!」

「え?知らへん、でもすごいパワーやで、これ」


カクンッと腰を落としそうになったのを堪えて、ゲートをくぐってみる。


-ブァンッ


とゲートは青く光り、なんと。


「や、やばい」


体力は全回復し、パワーが漲ってきた。

仲間が死ぬと、十字架マークの棺姿になり、勇者の後を勝手についてくるようになるので、俺がゲートを通ったことにより、死んだみんなもくぐり抜けていた。

すると次々に棺がパカパカとあき、みんなが出てきたのだ。


「う、嘘だろ!?」

姫「な、なんだか、すごいパワーですの」

師長「今なら落ち武者を一撃で倒せるよ」

アスカ「でもここ、教会じゃない、、?」


俺はみんなにほこらのこととゲートのことについて説明した。


アスカ「すごいパワー……これが、ほこらの力……」

オカン「こっちにはため池があるでぇー」


神殿の裏には、ちいさなため池があった。透き通った青色で、キラキラ光っていた。


アスカ「聖水です!、多分。。」


そう言ってアスカは両手で水をすくい上げ、口に入れた。


アスカ「やっぱり、聖水です!」

勇者「なんだって!?」


体力が全回復し、さらには死んだ者を生き返らせる奇跡のゲートと、飲めば体力が全回復する聖水が、飲みきれないほどあった。


師長「これは、凄いところだ」

勇者「聖水は、瓶に詰めて決闘まで持っていよう」


そうしてみんなは空き瓶に聖水を詰めた。

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