即興短編小説

桜牙

キーワード猿鳥犬桃鬼

猿鳥犬桃鬼。


いつもは犬猿の仲で喧嘩ばかりしている兄弟が今日はおとなしかった。


弟の翔太が風邪を引いてしまい、寝込んでいるからだ。

兄の大紀も近くで翔太を心配そうにみている。

珍しいこともあるものだ、とお母さんは思っていた。


これなら安心して目を離せると思い晩御飯のする事にした。今夜は鳥の唐揚げ。大人しいからじっくりと作れる。


數十分後。ご飯が出来上がり片付けも終わり子供達の方を見に行く。仲良く二人で眠っていた。


そっとしておこうと思い。お茶を飲みながらテレビを観る。こんなゆっくりするの何日振りかな。そん考えていると少し寂しくなってきた。


すると子供たちのいる部屋の扉が開き大紀が入ってた。


「ママ、お腹すいた」

「そろそろご飯にしましょうか?」

「うん。けど翔太はどうするの?」

「あとで雑炊持って行くから大紀は心配くていいよ」

「ううん、一緒に食べるから待ってるよ」

「無理せずに食べていいんだよ」

「ううん、無理はしてないだって一緒に食べたいんだもん」

「じゃあ、のもう少しだけ待ってみる?」

「うん」


そう言うと大紀は椅子に座り、テレビでアニメを見始めた。お腹の音がなってるのに無理しちゃって。とても我が子が愛おしくなった。


大紀はおとなしくテレビを見ている。なので翔太の様子を見に行く事にした。扉を開けると翔太が目を覚ました。


「ごめんなさい。起こしちゃった?」

「ううん、今目が覚めたの。それより僕お腹空いちゃった」

「なんか食べる?」

「うん、僕、桃食べたい!」

「桃か、桃はないかな。桃は明日にして、今日は雑炊ならあるけど食べる?」

「うん」

「じゃあ、準備してくるね」


次の日。

翔太もすっかり元気になり、いつも通りに騒がしい日常が戻ってきた。

約束通りに桃を買ってきたが、それが原因で喧嘩になっていた。


「お兄ちゃんの桃の方が僕のより大きい」

「年上なんだからだから大きくて当たり前だろ」

「だって僕がママと約束して買ってもらったんだから」

「そんなもん関係ないよ。僕の方が体が大きいし」


二人が言い合いの喧嘩をしてると、扉が勢いよく開かれた。


そこには昨日とは打って変わって、鬼の形相のお母さんが立っていた。


「「ごめんなさい」」

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即興短編小説 桜牙 @red_baster

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