短編ながらに纏められたら主人公の葛藤やバックボーン、また社会性まで含んだ内容は読み応えがありました。ここまで簡潔に、かつ美しく物語を〆られるのは見事だと思います。良い短編を読ませていただきました。
登場人物に共感はしない。ただ、考えさせられる。人間というもの、社会というもの。正義から悪への諧調。この小説は重たいグレーかなという印象。
重い物語がコンパクトにまとめてあって、するっと読めました。主人公の先輩と妻を関係を軸にした人間ドラマで、迷いと格好の果ての結論にうなずかされました。ただ、この長さでまとめたために、あらすじっぽくなってしまったのは残念だったと思います。内容が濃厚な分、描写も濃厚な方がバランスがよかった気がします。