②小説を書き上げるために内圧を高めよう

「僕は小説の話はしません。それで満足してしまうから」


……うろ覚えですが、これは作家・村上龍の言葉だったように思います。


「誰にも見せない小説の書き方」と題して始めたばかりで恐縮ですが、誰かに読んで欲しいという欲求は、小説を書いている以上、いつか必ず抱くものです。


昔は小説を誰かに読んで貰うためには、小説を書き上げるしかありませんでしたし、多くの人に読んで貰うためには、小説のコンテストで入賞し、プロデビューするしかありませんでした(小説投稿サイトも、電子書籍もありませんでした)。


そして、賞を逃した作品はお蔵入り……結局、誰にも見せない小説となってしまうことも、よくある話だったに違いありません。


――閑話休題。


今は小説を書き上げなくても、1話だけ投稿したり、アイディアの段階で公開したりすることも可能になりました(私は夢で見た物語を公開したことがあります)。


そして、読者の反応を受けてアップデートしていくことが、いわゆるWeb小説の執筆方法としては、スタンダードなものなのではないかと思います。


その一方で、1話やアイディアを発表することで満足してしまい、その先が続かないという経験をしたことがある人も、少なくないのではないかと思います。


小説を最後まで書き上げたことがないという人は、その小説に関する一切の情報を表に出さず、ひたすら小説の執筆に注力してみてはいかがでしょうか。


「書き上げないと読んで貰えないぞ」と自分を追い込み、内圧を高め、執筆のモチベーションも高めていく……そんな昔ながらのやり方を試してみることで、小説を書き上げることができるかもしれません。


……早くも誰かに見せる小説について言及してしまいましたが、誰かに見せたいと思うのも、作者自身が本当に面白いと思っているからに他なりません(自分が面白いと思えないものを、誰かに勧めることほど苦しいこともありません)。


誰にも見せない小説を書くということは、本屋やネットからではなく、自分自身から本当に面白い小説を探し出す……そんな、探求の旅なのかもしれません。

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