のぞきこむ

ちゅけ

第1話

トイレに行くには洗面所の前を通らなければならない。

何年も住んだ家だ。夜でも電気など点けずに行ける。


その夜も真っ暗な中、トイレへ向かった。すると洗面所でこれまた電気など点けずに鏡をぐっとのぞきこむ人影があった。


ダンナだろう。


用を済ましリビングに戻ると、ダンナはスマホで遊んでいた。


「電気点けないと鏡を見ても分からなくないか?」

「え、何?オレずっとここに居たよ」


そういえば、私はどうして暗闇で“人影”とわかったのだろう。


角度が違ったら、鏡に映った“人影”と目があっただろうか。

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のぞきこむ ちゅけ @chuke

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