取り付く島

比良野春太

基本姿勢:ちゃんと嫌い、ちゃんと好く

 以下、これからやっていく事についての基本的な姿勢を説明します。


目次:

1.導入

2.話す姿勢

3.終わりに


1.導入

  

 『食わず嫌い』をよくする。

 例えば、緑黄色野菜や魚介類の内臓及び卵、体育会系の短髪(といっても、僕自身野球をしていた頃はそうだったのだが……)、やたら声が高く自己主張の激しい女子、ダボダボのパンツを履いている輩、電車で新聞を広げ必要以上に席を占める中年、に対しては「いやー、ちょっと苦手です」という姿勢から入っている。


 『食わず好き』もよくする。

 例えば、一言話しただけの席替えの度に窓際になっていた気がするロングスカートを履いた大人しめの図書委員、何となく世界観がすごそうだと思ったまま積まれて埃を被った小説、数曲しか聞いていないかっこいい名前のボカロP、まとめ動画しか見ていないVtuberのグループ、そういうものに対しては「良い感じだね」という姿勢から入っている。


 端的に言って、これから色々なことについて語りたいと思ったのは、

 自分のこの姿勢を馬鹿だなと思ったからだ。


 日々、大量の情報に埋もれ、上から下に流れてゆく夥しい文字をもはや文字とも認識しているのかも覚束ず、たゆたい、面白ければハートマークやサムズアップのマークを押し、『嫌いそうな』ものには敵意だけ向けてストレスを溜める愚かしくも簡単な一日に、一言で言えば、飽きた。


 次にやることは、嫌いなものはちゃんと嫌って、好きなものはちゃんと好きになることだ、と思うに至った。

 そして、それを言葉にすること。

 人間は意志を持って文章を書く度、打鍵された文字を眼で追う。それは暗示のようなものだ。漢字を覚えるときは頭でそれを書きなぐったりせず、手を使って繰り返し書くように、文章を書くことによって『自分に自分の意志を刷り込む』ことが大いにあると思う。

 これはどこかで聞いた、おそらく有名なたとえ話だけれども、食わず嫌いをしている状態を数値で例えて、それが-100だとしよう。

 もしそれを実際に体験(体感)して、実は好きだった、ということが判明した状態を数値で例えて、それが+100になったとすると、幅(差)は+200である。特にどうとも思っていない状態(±0)から好きになるより数字がでかいし、何か、良いんじゃないだろうか。仮にちゃんと嫌いになれば-200だ。

 でも、中途半端に嫌うよりはいっそ清々しい。




 ――つまり、これからの目標は、いままで『食わず嫌い/好き』だった小説・漫画・アニメといったものを一つ一つ検証して、ちゃんと好きになったり、ちゃんと嫌いになったりしよう、ということです。そういう運動の内に得られた経験や感覚と言ったものをここで話すことによって、あわよくば「創作論・評論」としよう、と思います。


 少なくとも文章を書いている間は、


 『曖昧なものたち』にどっぷり浸り、

 大量の情報に思考を止めてたゆたい、

 漂流する、

 そういうことを止めて、

 一つの島で地に足をつけて生きる。

 それが『取り付く島』と名付けた由来です。


 ……勿論、今とっさに考えた後付けです。

 

2.話す姿勢

 

※まだすこし「評論」「創作論」という言葉が気恥ずかしく、あまり自分からそれらの単語を用いたくないという思いがあります。したがって、以降は気軽に「話す」「喋る」といった言葉を気軽に用いてゆこうと思います。しかし、これは「創作論・評論」のカテゴリですから、それなりに「論」と呼べるようなものに昇華させるように頑張ります。



 基本的には、この『取り付く島』では小説・漫画をはじめとした創作物の感想を述べたいと思っています。

 なぜ「」と傍点を打ったかと言うと、評論と呼ばれるジャンルではその創作物を「ジャンル」「属性」で分類して、個々の創作物を歴史の一部に埋め込んで俯瞰する、という作業がたびたび登場することを知っているからです。

 「セカイ系」という言葉だけは知っています。(上に述べた、食わず嫌い!)

 もはや、そういう前提知識を総動員して、個々の作品を読み解くという作業が避けられないのかもしれません。例えば作者の存在を考慮するとして、作者の思想を形成する影響を受けた作品たちの影響が個々の作品に影響を与えている訳ですから、当然と言えば当然と言えるかもしれません。


 例えば、「百合姫に掲載されているからそりゃあ百合作品で、女の子同士が恋愛するんだろう?」と感じた瞬間、読み解こうとしたなまの世界に僕らが自分自身の、現実の世界から持ち込んだ背景が生まれます。「女の子同士の葛藤を書くのだろうか?」「それとも、女の子同士で恋愛することがふつうになった世界なのだろうか?」それとも、それとも、……。


 本当は、個々の作品を「独立した世界」として楽しみたいのです。

 しかし、贅肉が走ることを妨げるように、

 僕自身の知識が創作で展開される新たな世界を読み解く邪魔をしています。

(それを逆手にとる小説・漫画も大いにありますね。

 『僕の妹は漢字が読める』とかでしょうか?)

 本当はストレンジャーとして、読み解いてゆく新たな世界を、初めて降り立った町のように、ある時は横道に逸れ、新たな路地裏を発見してワクワクしたり、或いは裏手の山に秘密基地をみんなで作ったあの時のように、真にまっさらな状態から全てを楽しみたいのに、なぜか読み手になると現実の知識が邪魔をして、いわゆる「強くてニューゲーム」状態になってしまうのです。



 そういう葛藤を持ちながらこれから小説や漫画の感想を書きます。



 ……と言っても、上で書いたことは言い過ぎで、

 とにかく色んな読み方をしたくて、あくまでその一つの過激な思想に過ぎません。

 僕の知識は時に不愉快さのあまり人を傷つけるほど貧相なので、個々の作品を流れに位置づけることはしないと思います。

 強調しておきますが、基本的に感想は感じていることで、人々がどう思っているかを代弁したりする意図はありません。あなたが傷ついたり、悲しくなったりするような意見を僕が発していると感じられた場合は適当に主語を補っていただいて傷つかないように改変するか、またはお手すきなら指摘して頂ければ、どのような意図で(意図がなく無意識に発した可能性のほうが大きいですが……)そう書いたかは説明します。


 さて、前置きは長くなりましたが、


・主に小説・漫画・アニメの感想を正直に喋ります

・といっても、これは「創作論・評論」に分類されるものですから、作品を通して得た幾つかの感覚・経験を頑張って「論」と呼べるものに昇華させたいです。

・色んな読み方をします。なので評価や感想は一貫せず不安定です。

・今まで読んだことがない、

 または読まず嫌い/好きをしてきたような作家及びジャンルを積極的に読みます。


 ご感想やご指摘があれば遠慮なくくださればと思います。

 どうぞ宜しくお願い致します。



3.終わりに


 以降の予定はtwitterなどで更新します。

 いまのところ、食わず嫌い小説(家)には

・重松清

・百田直樹

・辻村深月

・湊かなえ

・有川浩

・東野圭吾

・村上春樹

・異世界転生全般


 が挙げられます。


 ……。 

 …………………………。

 ……………………………………………………。

 「上に挙げられた作家を読んでないなんて、人生損してるぞ!」

 とおっしゃりたい方もいらっしゃると思います。

 僕だって食わず嫌いをして人生を損してると思ってます(逆ギレ)

 そう思ったから読むんです(開き直る)

 うっせーな(言葉より先に手が出るタイプ)

 

 これから読んで、

 ちゃんと好きになったり、

 ちゃんと嫌いになります。

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取り付く島 比良野春太 @superhypergigaspring

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