獨卷舒

 寒 夜 讀 書


 寒夜かんや讀書とくしよ

いまねず孤燈こたうもと

三餘さんよに獨り巻舒けんじよ

咿唔いごして猶ほまず

筆をして志まさ


【語釈】

三餘さんよ:読書に好適とされる三つの時。冬(年の餘)・夜(日の餘)・陰雨(時の餘)。

巻舒けんじよ:巻くこととばすこと。書物を開いたり閉じたりすること。

咿唔いご:声に出して読むこと。朗読すること。

筆をして:「呵筆かひつ」。凍った筆に息を吹きかけて暖めること。

 ※「筆硯ひっけんする」で、文章を書くの意。

ぶ:のびること、ひろげること。また、述べ表すこと。


※韻は上平声六魚の舒・攄、仄起式五言絶句。


備考備忘:


〔平字○/仄字● 〕 

【起】●●○○●

【承】○○●●韻

【転】○○○●●

【結】○●●○韻


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