廊廟器

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 悼 傷

宵 旰 似 猶 見

雖 然 去 不 留

雨 聲 流 水 恨

燈 影 夕 陽 愁

星 殞 裴 公 望

松 崩 范 老 憂

大 哉 廊 廟 器

可 惜 隔 明 幽


 悼傷たうしやう

宵旰せうかんほ見るに似たり

しかりといへども去りて留らず

雨聲うせいに流水のこん

燈影とうえい夕陽せきやうしう

星は裴公はいこうばう

松は崩る 范老はんらういう

おほいなるかな 廊廟らうべうの器

惜しむべし 明幽めいいうを隔つるを(明幽めいいうを隔つるを惜しむべし)


【語釈】

宵旰せうかん:「宵衣旰食せういかんしよく」の略。政事に精励すること。

流水:人の生命を水の流れに喩えたもの。

燈影とうえい:ともしびの影。ほかげ。

夕陽せきやうしう:黄昏の物悲しさ。夕陽を我が国に擬える。

星はつ:将軍の死。

裴公はいこう裴度はいど。唐朝の名臣。

松:不変、永遠の命の象徴。

范老はんらうはん仲淹ちゅうえん。宋朝(北宋)の名臣。「天下の憂いに先んじて憂ふ」の言あり。

廊廟らうべうの器:宰相としての器量。

明幽めいいうを隔つ:死別して冥土と現世とにわかれる。


※韻は下平声十一尤の留・愁・憂・幽、仄起式五言律詩。


備考備忘:


〔平字○/仄字●〕 


【首聯】○●●〇●

【首聯】○○●●韻

【頷聯】●○○●●(対句)

【頷聯】○●●○韻(対句)

【頸聯】○●○○●(対句)

【頸聯】○○●●韻(対句)

【尾聯】●○○●●

【尾聯】●●●○韻


※七月八日の悲劇に接して。

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