花挿姫

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拙文『〔私訳〕かざしの姫君』の韜筆に際し、如下の詩作を以て、ご高覧の諸賢に今一度の謝意を表するものなり。


花 挿 姫 想 菊 精

庭 院 蕭 条 対 菊 吟

誰 憐 促 織 恋 花 心

啾 々 如 雨 重 陽 節

絶 美 哉 黄 挿 一 簪


花挿くわざしの姫 菊の精を想ふ

庭院ていゐん蕭条せうでうたれば 菊にむかひて吟ず

たれか憐れむ促織はたをりむしの花に恋ふる心を

啾々しうしう雨のごと重陽節ちようやうのせち

はなはだ美なるかなきくいろ 一つくわんざしさん


花挿かざしの姫、菊の精を想う

庭院にわが何とのう心寂うらさびしくて、菊に話し掛ける。

だれか憐れんでくれるだろうか、儚い螽蟖きりぎりすの、もといわたくしの、菊の花への恋心を。

虫の鳴きのようにわたくしの忍び泣く声は雨のごとく、折しも菊の節句である重陽ちょうよう

何と美しきことかこの菊色きくいろ一茎ひとくきかんざしとしてそう。


※韻は下平声十二侵の吟・心・簪、仄起式七言絶句。


備考備忘:


〔平字○/仄字●〕 

【起】〇●〇○●●〇(韻)

【承】〇〇●●●○〇(韻)

【転】〇〇〇●〇〇●   

【結】●●〇○●●〇(韻)


菊の精による答歌はこちら

https://kakuyomu.jp/works/1177354054888143292/episodes/16816700427592006878

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