応援コメント

栗棘蓬」への応援コメント

  • 工藤様、こんばんは。またもや麦粒腫を拵えて、ひそかにひいひい言っているひいなです。今夜は『栗棘蓬』にお邪魔しております。
    「彼女の諸手(もろて)を漬(ひた)す琺瑯(ほうろう)の大盥(おおだらい)の裡(うち)は皓(しろ)いから、小刀(ちしゃがたな)で創(きずつ)けた手頸(たなくび)より洩(も)れ出(い)づる赤血(せっけつ)は愈(いよよ)鮮(あざ)らかなる赫赫(あかあか)とした靉靆(たなび)きを水中(みななか)に著(あら)わしていたのである」……なんと圧倒的な美文!! 膚色を「琺瑯(ほうろう)の皓(しろ)」と表されるところ、「琺瑯」は「白磁」と同じく「釉薬をかけた磁器」ですね。この無機質を、嫩き血の巡る身体を蔽う皮膚の比喩に使われる感覚、うっとりです。
    「彼岸(ひがん)と此岸(しがん)」!! つい最近、拙作で使っておりました。驚きの既視感。
    「どうしてものみ込むことのできないもの。受け入れたり納得したりすることのできないもの」を「栗棘蓬」と言うのですね。本当に偶然ですが、拙作の少女の心にも棘が刺さっており、それは「どうしてものみ込むことのできないもの」であり「受け入れたり納得したりすることのできないもの」だったのだと、しみじみ思いました。嗚呼、僭越ながら共通項を多々見出し、たいへん失礼しました。

    宮中猫の微笑ましい場面、是非、物語という形で綾織って下さいませ! 仔犬のワルツならぬ仔猫のワルツを是非❤ 実際にショパンのピアノ曲で「仔猫のワルツ」と呼ばれているものがあり、それは猫の跳躍力を表現するかのような音域の広さです。一方「仔犬のワルツ」は毛糸玉が床を転がるように比較的狭い音域をぐるぐる廻るのです。難易度は猫が上です。工藤様のお書きになられる美猫の姿を拝見できる日を楽しみにしております。

    「鴉青色」ならびに「レモングラスとカモミールのブレンドティー」を、第三奏鳴曲で登場させたく思っております。最近、工藤様のコメントは最早レビュー!と、またまた或る読者様にお褒めいただきました(私の頁ではないところで)。本当に本編以上に工藤様のコメントが素敵なのです。しかし「研ぎ澄まされ過ぎていよいよ自傷する精神」に工藤様が苦しめられませんよう、一番に祈ります。そんなわけで往復書簡は、ゆうたりとしたペースで結構ですので、どうか執筆と読書と休養の時間を優先なさってくださいね。そう言いつつ私のコメントは、こんな感じでスミマセン。しかも先日は工藤様を「名探偵」などと呼びまして、無礼を致しました。しかし江戸川コナンくん、ラヴリィですね(^^♪ ぎゅっとしたいです。

    さて、私はジョバンニ・ガブリエーリのナンバーを予習しております。工藤様の御作品をふわふわと読ませていただくのは止して、堅実に足跡を刻みたく予習していたのです。ではまた、目蓋の腫れが引き次第、そちらの物語にも、お伺いしたく思います。宜しくお願い致します。

    作者からの返信

    宵澤樣

    『栗棘蓬』の姫(ひい)様は大変なことになっておりましたが、宵澤のひい様も四方や先度に重ねての御目病みとは……中々に強太い「種」ですね。一日も早いご快癒をお祈り申し上げます(或いは、もう落ち着いておられると善いのですが)。

    姫様の膚の皓、琺瑯の皓、そしてそれらの皓とコントラストを成す姫様の赤血……又しても「美文」としてお褒め下さり何時も何時も有り難うございます。白皙の譬喩は思い付く毎に書き溜めておくのですが、御作で「白磁人形(ビスクドール)」を拝読し、成る程と唸らされた次第です(その節も、懲りずに冗長なコメントで失礼致しました……)。現段階では皓の下に血脉の仄かな青い茎模様まで透かすような「雪花石膏(アラバスタ)」に譬えるのが気に入っておりまして、実は別作にて美少年の白皙を表する譬喩として用いております(こういう性向はMetabolic SyndromeならぬMetaphoric Syndrome、譬喩症候群とでも名指すべきかも知れませんね)。我が語彙の海をゆうたりと、然し着実に踏破される名探検家には直ぐに採集されて仕舞うこと必定です。恐らく語彙・譬喩たちもそれを俟っていることでしょう。

    私も、此方こそ僭越乍ら、語彙の共有のみならず嗜好や美意識にも宵澤さんとの少なからぬ共通項を予て見出しております。共有・共通している背景要素が多いと、自ずと嗜好ならぬ思考まで似通って来て仕舞うのでしょうか……(笑)

    宮中猫の場面、早速にchopinの「仔猫のワルツ」をブーニンの演奏(速いです!)で聞き乍ら一つのシーンとして物してみました。何かが始まりそうな、聞きようによってはやや不穏な冒頭部を経て、侍童との追い掛けっこが始まったかと思えば、何時の間にか侍童の手の届かぬ安全な高所にでも辿り着いたのか、勝ち誇ったように伸びやかに、優雅な四肢の動きを見せつける猫。猫は長毛種でなく、娜やかで俊敏な短毛種のシャム猫のイメージ。その闖入してきた猫に託けて猫談議を始める貴人達。何故、シャムちゃんの顔は黒いのかについて「好敵手」の侍童が所思を述べ、国母陛下を花笑みさせて褒美を頂戴しますが、その最中に猫が降りて来てまた追い掛けっこが始まる、といったようなイメージでした。語彙の海に浮かぶ氷山の如く未だ漂っておりますが、「貴婦人、最後の恋」の第三章(現在、第二章途中です……)に盛り込む算段となりそうです。うーん、然し未だ未だ随分と先になりそうな予感がします。お目に掛けられるように何とか出来ますかどうか……此方もゆうたりとお見守り下さればと存じます。

    「鴉青色」「レモングラスとカモミールのブレンドティー」、次なる奏鳴曲で拝見できるのですね。御作の茶話のシーンは毎度愉しみにしておりますが、今度はどのように登場するのでしょうか。

    私のあのような長文のコメントを、宵澤さん以外にも読んで下さるのみかお褒め下さる方がおられるのですね……有り難くも面映ゆい、嬉しい、何やら複雑な心境です。にしても、仰る通り確かにあの文量ですとレビューの方が適切なのでしょうか。時々、適量適切な皆さんのコメントが並んでいるのを拝見しますと、ソーシャル・ディスタンスを取って整然と並ぶ列にいきなり大量の荷物を抱えた迷惑な客(=私)が割り込んでいる風にも見えて来て笑ってしまうのです(相済みません)。お褒めのお言葉を頂戴しますと益々と調子に乗って仕舞いそうですが、試しに次に書き込ませて戴くコメントは、一度に纏めてでなく一話ずつに分散してみますね(とはいえこの場合でも、トータルすると逆に更に字数が増える可能性もあるかもしれず、気が抜けません……)。

    「研ぎ澄まされ過ぎていよいよ自傷する精神」、お心遣い下さり痛み入ります。幸いなことに来月から年度の下半期が始まることもあってか、少しく身辺が慌ただしく、自傷するほど精神を研ぎ澄ませる時間がないのは僥倖と言うべきでしょうか。往復書簡、いつも此方からのお返事が遅くなりがちで恐縮ですが、ゆうたりとお付き合い下さいませ。宵澤さんこそ、呉々もご無理なさいませんように。

    さて、一昨日の金曜日にもコナン君の映画がテレビ放送されていましたね。何時かも申し上げました通り、何分、ラヴリィなコナン君とはアベコベの「見た目はオトナ、頭脳はコドモ」の私です。宵澤さんが我が語彙世界の名探検家にして語彙商店の上得意様であるのに肖って(というのも妙ですが)、私も宵ザ・ワールドの「名探偵」になれますよう今後とも精進致します。ただ「真実は何時も一つ!」と豪語する明晰なコナン君とは異なり、「真実はいつも多様!」と些か考えが緩い私などが彼のような「名探偵」になれますかどうか……良い子が寝ている時間に良からぬオトナの妄想妄言を失礼致しました。それぢゃ。

    追伸:
    「飽かぬは―」、ご高覧下さったのですね。ガブリエーリのカンツォンをBGMになど不遜にも程があると諸方からお叱りを受けそうですが、何とかご海容戴いて、日陰で寂然と育んで生き存えさせて頂きたいものです。彼方も一応は物語の筋を拵えましたが、基本的には「語彙世界」と同様に、語彙と譬喩をお楽しみ下されば本望でございます。彼方に頂戴しましたコメントへのお返事はまた後刻改めまして。

    編集済