study

@nthmusickn

短編

「…めんどくさい。」

「ごねますね姉さん」

「だって、ほんとに漢文嫌い…」

「でもこれやらないと評定さがるでしょ?」

「うー……」

現在、このめんどくさがり屋さんをどうやってやる気づけるか考え中。この勉強会の企画は俺の横で突っ伏してるこいつなのに、いざ苦手な所をやらせようとするとこれだ。俺だってさっきまで数学頑張ってたのに。

「なんでこんな頭痛くなることやらなきゃいけないの。私理系なんだけど…」

「んな事言ったら俺だって文系なのに数学やってんだよ。お前ももうちょい頑張れよ…教えてやるから、な?」

「うー…」

あ、起き上がった。そろそろやる気出すか?と思った矢先、

「もたれかかったら勉強できないだろ!シャーペン持てよ!ほら!」

「やだ…君にくっついてたいんだよ。この私がこんなにくっついてるんだよ?光栄でしょ」

そんな事言われても…いや、少しこのままでもいいかななんて思った俺もいるけど。甘やかしたらこいつまた国語呼び出しくらうぞ。…そうだ。

「50点以上取ったらさ、再試にあてられてる日、デートしようよ」

そう、提案する。

「…30点」

「だめ。50点」

「…40点は?」

「50点。じゃなかったら、しないよ?」

ちょっとでも心を鬼にしないと、こいつは勉強しない。地頭はいいはずだし、やれば出来るんだから。

「…わかった。がんばる。おしえて。」

嫌々やりますよって雰囲気が滲み出た喋り方だけど、やろうって気になってくれたから、まぁ良しとしよう。


「じゃあとりあえず始めの文からやるよ。はい、………」



精一杯教えてやろう。俺だって、こいつとデート行きたいんだから。

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