第4話/エピローグ
「千織にしては悪趣味な悪戯だな。まず、母さんに謝るべきだ」
千織アンドロイドから話を聞いた俺はそう言った。びくりと肩を震わせた彼女を見て、俺は自分が次に何を言おうとしたのか分からなくなった。
「やっぱり私、今日は違う場所に泊まるから。……じゃあね」
そう言って、千織アンドロイドは立ち上がる。すぐに俺はその腕を掴んだ。
「また、どこかに行くつもりか?」
「またって。私は千織じゃないから」
「さっきと言っていることが違う」
「自分だって。さっきは気持ち悪いって言って追いだそうとしたくせに」
千織アンドロイドと言い争いをしていると、いつかの兄妹喧嘩を思いだした。あのときも確か、俺が先に泣いてしまった。
「俺がいてほしいんだ、千織に。お前ともっと話をしたいって思ってるんだ」
「……兄さんってほんと、自分勝手だよね」
小さく呟かれた声。そこにいる千織は、もらい泣きをしていた。
終
妹は2人いる シーズーの肉球 @ishiatama
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