第17話空に憧れて
怪獣を倒したプロジェクトzは、空を仰いだ。
正確には、プロジェクトzの肉体を使用していた青谷には空を見たのだ。光るものが空を飛んでいったような気がした。
「プロジェクトz、見えたか?」
青谷は、そう尋ねた。
「ええ、見たわ。あれは、少女yね」
プロジェクトzは、どこか嫌そうな声を出す。
「大方、上司に相談しにいったのよ。エリートって、首に縄が付いているみたいにせっかちなんだから」
そういうものだろうか、と思いながら青谷は倒した怪獣を見た。
少女yだと思われた光は、もう見えなくなっている。
「おまえたちは宇宙船でも持っているのか?」
プロジェクトzや少女yは、自分の力で空を飛ぶことが出来る。しかし、さすがに彼らが単独で宇宙空間を飛ぶとは思えなかった。
「私たちは単独で宇宙空間にいけるわよ。私たちの皮膚はとても頑丈なの。地球人だって、酸素の問題はあるけど皮膚事態は宇宙空間に耐え切れるでしょう。少しの時間だけど」
「宇宙に放り出されたら、すぐに死ぬって聞いたことがあるぞ」
「もうちょっと自分を信じてみたら?貴方の皮膚は貴方が思うよりずっと優秀な宇宙服よ」
信じたところで宇宙空間に行く機会などないであろう。
「いつか、貴方にも宇宙を見せてあげたいわ。とっても綺麗なのよ」
怪獣を倒したばかりのせいなのか、プロジェクトzはご機嫌であった。
「俺は宇宙にいけないな。まだ、浮かぶので精一杯だし」
「じゃあ、いつか私が連れていってあげるわ。私が貴方の体を乗っ取ることができたら、貴方を宇宙につれていってあげる」
本当に綺麗なのよ、とプロジェクトzは言った。
ただ綺麗なものに憧れる、その様子は年頃の少女のようであった。
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