第13話CMに偽りあり

 平日を選んで遊園地にやってきたのは、人ごみを避けたかったからだ。だが、平日を選んだのは失敗だったかもしれないと思った。なぜならば、遊園地にはほとんど人がいなかったからである。閑古鳥が鳴いているとはこのことで、スタッフもどことなくやる気がなさそうに見えた。仕方がないかもしれない。なにせ、客よりもスタッフのほうが多い状況なのだ。しかも、人件費の節約なのかどこを探してもマスコットキャラクターはいなかった。

「地元の遊園地なんて始めて来たが……こんなに人がいないもんなんだな」

 敷地面積だけは広いので、運動会ぐらいはできそうである。

 遊園地の見取り図をみるかぎり、メリーゴーランドやジェットコースターなどのメジャーな乗り物はそろっているようである。だが、それぐらいしかない。寂れていくのも当然なような気がした。

「なんで、こんなに人がいないの!CMは楽しそうだったのに!!80パーセントぐらいは詐欺じゃない」

 プロジェクトzは大声で叫ぶ。

 CMに偽りありよ、とプロジェクトzは言う。

「CMって、そういうもんだろ」

 青谷は、プロジェクトzほど落胆していない。むしろ、人に見られなくてよかったと思っていたほどだ。ここまで人がいないと、ただいるだけで若干恥ずかしいが……散歩に来たと思うことにしよう。

「地球人はどこで遊ぶの!遊園地がこんなにガラガラなら、どこで遊んでるの!!」

「知るかよ。あー、とりあえずジェットコースターでも乗るか」

「私、メリーゴーランドがいい!!」

 それは、男一人で乗るのにはだいぶ勇気がいる乗り物だった。

「却下、ジェットコースターに行くぞ」

「私のほうが、高く飛べるのに」

 プロジェクトzは、むくれる。

「日常で飛んでたら、人目を引くだろうが」

「そうだけど……ああ、もう仕方ないわね。折れてあげるわ」

 プロジェクトzの我侭で遊園地に来ているのに、随分な言葉である。そういえば、妹も兄である自分にはこんな態度であったなと青谷は懐かしく思った。

「そのかわり、記念写真はとりましょう」

「だから、それって俺一人の記念写真になるだろうが。そんな寂しいことできるかっ」

「うー、意地悪!!」

 プロジェクトzは、叫ぶ。

「遊園地に来ているだけで、俺は十分に優しい」

 青谷の言葉をプロジェクトzは聞いていないようだった。

 さっさとチケットを買ってしまおうと思い、青谷は券売機へと急ぐ。この遊園地は入場料は取らないが、乗り物のチケットを買って乗り物の前にいるスタッフに渡すシステムである。そして、ジェットコースターの前にいるスタッフに青田にはチケットを渡そうとした。だが、その時に気が付いてしまった。

「あっ。えっと、未来ちゃんのお兄さんですよね?」

 スタッフの女性に話しかけられた青谷は、硬直した。

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