第6話 なんて甘酸っぱい
卒業してからずっと、いまだに高校の友人と手紙のやりとりをしている。
家族のこと、子どものこと、仕事のこと、近況報告を書き連ねるうち「修学旅行のときって、こんなことあったよね」「あのとき熱出してさぁ・・・」とキラキラとこぼれてくる思い出話。私の中から抜け落ちた思い出は彼女が補完してくれ、彼女が忘れているものは私が補う。お互いが宝箱。
私たちはクラスが一緒になったことがない。出身中学も違う。いつ仲良くなったのかもはっきりとおぼえていない。ただ、私の辛い時には彼女は必ずいて、彼女の辛い時には私が必ずいた。学生時代の幾多の片思い、失恋も、仕事や結婚の悩みも共有してきた。家族に不幸があれば一緒に泣いた。ひどく傷つけられることがあれば一緒に怒った。バカバカしいことで大口開けてゲラゲラ笑った。下品なことも上品なことも一緒くたに話せる仲間。
今も彼女の字をみると、あの頃の甘酸っぱい時代の欠片がキラキラと弾ける。
あたらしい朝 万々実椰 @mannmamiiyann
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