第70話  邪悪な者は、自分を邪悪と思わない――アサシンガールズ・ハーブショップ


 巨大な石造りの都に、激しい雨が降り続いていた――。


 まだお昼前だというのに、王都クランブルは暗い灰色に染まっていた。大粒の雨が石畳を叩き、普段は緩やかな水路の水も、大きくうねりながら音を立てて流れていく。いつもなら大勢の人で賑わう大通りも今日ばかりは静まり返り、各地の広場には露店がほとんど見当たらない。繁盛しているのは酒場ぐらいで、それ以外の世界はすべて雨の音に包まれていた。


 そんな王都の濡れた道を、2人の少女が連れ立って歩いていた。少女たちは防寒用のマントをしっかりと身にまとい、大きな水たまりを踏み越えて黙々と進んでいく。そして1軒の店に入ったとたん、フードを脱いだ金髪の少女がのんびりとした声を上げた。


「たっだいまぁ~」


 小さなドアチャイムと少女の声が静かな店内に響くと同時に、奥のカウンターで粉薬を調合していた中年男性が不機嫌そうに顔を上げた。そして2人の少女を見たとたん、男はあからさまに顔をしかめた。


「……ここはおまえらの家じゃないだろ」


「そんなことはわかってるわよ」


 もう1人の少女もフードを脱ぎ、長い黒髪をかき上げながら男に言った。


「とにかく、あんたの依頼はちゃんとこなしてきたんだから、お茶ぐらい出してくれてもいいんじゃない?」


「あんたじゃない。ザジさんと呼べ」


 黒髪少女の生意気な物言いに男はぶっきらぼうに言い返し、ハーブが詰まったビンを手早く片付けて立ち上がる。


「だけどまあ、いいだろう。この大雨じゃ客はこないからな。話は奥で聞く。おまえたちはマントの水滴を落としてから来い。店の中を濡らすなよ」


 そう言って、ザジは奥の薄暗い部屋へと向かっていった。その背中を見送りながら、少女たちは思わず小さな息を吐き出した。


「ねぇ、ヨッシー。あのオッサン、やっぱすんごくムカつくんだけど」


「私もムカつくけど、しょうがないでしょ。ゲームマスターにケンカを売ったって勝てるわけないんだから。それよりフウナ、ちょっとドアを押さえておいて。マントの水滴、はたくから」


「はいはい。あたしのマントもよろしくぅ~」


 フウナがドアを開けて押さえると、ヨッシーは外に向かってマントの水滴をはたき落とす。それから2人そろって奥の部屋に足を運ぶと、暖炉の前の小さなテーブルに湯気の立つカップが2つ並んで置かれていた。


「ほらよ。茶をいれておいてやったぞ。濡れたマントは暖炉の前に干しておけ」


「うーわ、なにこのオッサン。マジで上から目線なんですけど」


「ほんと、心がささくれるよねぇ……」


 いきなり命令口調で飛んできたザジの声に、ヨッシーとフウナは思わず顔を強張らせた。そして渋い顔のまま、棚にずらりと並んだ木の樽を横目で見ながら暖炉に近づき、物干し台にマントをかけて椅子に座る。するとソファに腰かけたザジが淡々と口を開いた。


「それで、ヴァリアダンジョンはどうだった? アーサーのヤツは見つかったか?」


「はいはい、いきなり本題ですか……」


 カップに口をつける間もなく質問されたヨッシーは、呆れ顔で金色の金属片プレートをソファの上に放り投げた。


「アーサー・ペンドラゴンはいなかったけど、最下層にそれが落ちてた。状況から考えると、アーサーは誰かに殺されたんだと思う」


「……そうか。ま、こいつが落ちていたとなると、そう考えるのが妥当だな」


 ザジはアーサーの名前が刻まれた個人認識票タグプレートをつまんで眺め、小さな息を吐き出した。


「あいつは上昇志向が強かったからな。ランク6のライトゴールドに昇格した時は、このタグプレートを俺のところにまで見せに来て自慢したぐらいだ。そんな大事なモノをあいつが手放すはずがない。つまりあいつは、ヴァリアダンジョンの最下層で死んだってわけだ」


「でも、アーサーの転生武具ハービンアームズって、致命傷すら一瞬で治すんじゃなかったの?」


「身につけていなければ、どんな特殊能力があっても意味がないからな」


 ザジはソファの背もたれに寄りかかり、ヨッシーに目を向けた。


「それで、最下層の様子はどうだったんだ? エクスカリバーは落ちていなかったのか?」


「それが、けっこう探したんだけど見当たらなかった。落ちていたのはそのタグプレートと、鎧の欠片かけら、あとは何かの黒いかたまりぐらいかな」


「ん? 黒い塊ってなんだ? 石とか金属か?」


「う~ん、なんだろ? 触った感じは金属みたいだったけど――」


 ザジに訊かれたとたん、ヨッシーは体の前で両手をわずかに広げて見せた。


「大きさはこれぐらいで、見た目は馬糞みたいだった。そういうのが何十個もあちこちに落ちていたけど、結局なんだかわかんなかった」


「なるほど……。そいつはおそらく、聖剣旅団の団員だな」


「は? あの黒い塊が団員って、どゆこと?」


 ヨッシーは思わずパチクリとまばたきして訊き返した。隣で熱そうにお茶をすすっていたフウナも、つられてザジに顔を向けた。


「前に何度か見たことがあるんだが、圧倒的な超高熱の火炎魔法で攻撃されると、人間の体はもちろん、装備している剣や鎧もまとめて溶ける。そしてあとに残るのは黒い馬糞みたいな塊だけになるんだ。おまえたちが見たのはおそらく、それと同じものだろう」


「えっ? ってことはアレって、元は人間だったってわけ?」


「たぶんな。そしておそらくアーサーも、その火炎魔法でやられたんだろ」


「うえ~、なにそれ~。私、もろに触っちゃったんだけどぉ」


「あたしもぉ~」


 ザジの話を聞いたとたん、ヨッシーとフウナは慌てて両手をはたき出した。まさかあの黒い塊が、人間のなれの果てとは思ってもいなかったからだ。そして気が済むまで手を叩き合わせたヨッシーは、不意に表情を引き締めてザジを見た。


「でもさ、ザジさん。そうすると、ちょっとヤバくない?」


「ああ、かなりマズいな」


 ヨッシーの声に緊張が含まれていることを聞き取ったザジは、顔を曇らせてうなずいた。


「アーサーはそこそこ腕の立つベテラン転生者だ。しかもどんな傷でも癒やすエクスカリバーと、死んでも復活できるゲートコインを持っていた。そんなアーサーを殺すことができるのは、エクスカリバーとゲートコインの能力を知っているヤツだけだ。つまり、アーサーを殺したのは――」


「転生者の存在を知っているヤツ、ってことね」


「そう考えるのが妥当だろう。まったく……。面倒なことになっちまったな……」


 ザジはさらに顔をしかめて窓の外に目を向けた。鉄格子がはめられた窓の向こうでは、雨が激しく降り続いている。冬の終わりを告げる嵐だ。この嵐が過ぎ去れば本格的な春になり、気温はゆるやかに上昇していく。しかし今のザジの胸の中は、漠然とした不安で冷えきっていた。なぜならば、アーサーの死亡以外にも、非常に大きな懸念事項があったからだ。それは――。


「おまえたちがヴァリアダンジョンに向かう前日、新しい転生者が来たんだが、覚えているか?」


「新しい転生者……? ああ、あのポーラって子ね」


「そうだ。そしてあいつはおまえたちを見送ったその日のうちに、何者かに殺された」


「えっ?」


「うそ」


 淡々としたザジの言葉を聞いたとたん、ヨッシーとフウナは思わず顔を見合わせた。ポーラとはほんの少ししか言葉を交わしていないが、それでも顔見知りであることには違いなかったからだ。だから2人にとっては顔を知らないアーサーよりも、ポーラは身近な存在だった。そのポーラが殺されたという情報は、まさに青天の霹靂へきれき以外の何ものでもない。涙が出るほどではないが、2人の少女はかなりの衝撃を受けた。それでヨッシーは思わず椅子から身を乗り出してザジに尋ねた。


「えっ? なんで? 殺されたってどういうこと? まさかあの子にゲートコインを渡していなかったの?」


「そんなわけないだろ」


「じゃあなんで? ゲートコインがあれば復活できるのに、なんで殺されたの? まさか2回連続で殺されたってこと? なにそれ? そんなことってありえるの?」


「ゲートコインを持っていたのに殺されたってことは、そうとしか考えられないだろ。しかもあいつの死体からは心臓がえぐり出されていたらしいから、犯人は確実に殺すつもりだったってことだな」


「はあ? 心臓って……そんな、うそでしょ……?」


 ヨッシーは思わずごくりと唾をのみ込んだ。フウナも反射的に首をすくめ、自分の体を抱きしめた。知り合いが殺されたということだけでも背すじに寒気が走るのに、心臓がえぐり出されたというのはおぞましいにも程がある。いったいどこの誰が、どうしてそんな残酷な殺し方をしたのか――。ヨッシーとフウナは何か得体の知れない闇の気配を感じ取り、思わず体を震わせた。


「おまえたちは知らないだろうが、あいつの転生武具ハービンアームズはちょっと特殊でな、心臓が鼓動するたびに能力値が上昇するというものだったんだ」


「そ……それじゃあまさか、犯人は転生武具ハービンアームズのことを知っているヤツってこと……?」


「わざわざ心臓だけをえぐり出して持っていったってことは、つまりはそういうことだろう」


「そ、そんな……なんてひどいことを……」


 ヨッシーは愕然として目を見開いた。もしも本当にポーラを殺した犯人が転生武具ハービンアームズのことを知っていたとしたら、自分と七天抜刀隊のメンバーにとっても無関係では済まないからだ。


「それで犯人は? まだ捕まっていないの?」


「ああ。警備軍の王都守備隊が捜査をしているが、犯人どころか容疑者すら見つかっていないらしい。まあ、こっちの世界の警察組織は大して役に立たないから期待するだけ無駄だろう。それより、さっきも言ったが、この状況はかなりマズい」


 ザジは鋭い目つきでヨッシーとフウナを交互に見た。


「わずか1か月の間に転生者が2人も殺されて、2つの転生武具ハービンアームズが奪われた。つまり、何者かが俺たち転生者を狙っている可能性が非常に高い。しかも転生者がほとんどいないこの国でこんなことが起きるのはかなりの異常事態だ」


「それはつまり、かなりヤバいってこと……?」


「ヤバいなんてものじゃない。転生者がほんの数人しかいないこの国で、転生者を狙う人間が出てくることは考えにくい。となると、アーサーとポーラを殺したヤツは、この国の外から来たということだ。それはつまり、この世界のどこかに、俺たち転生者に対抗する組織が発生したということが考えられる」


「そ、それじゃあやっぱり、女神たちが言っていた最悪の事態が起きているってこと……?」


「そう考えておいた方がいいだろう」


「でっ、でもでも! ちょっとまって!」


 それまで黙って聞いていたフウナが唐突に声を張り上げた。


「この世界って、あたしたちのために地球の神様が作ってくれたゲームみたいな世界なんでしょ? それなのに、なんであたしたちに敵対する組織なんかができるの? そんなのおかしくない? ありえなくない?」


「べつにおかしな話じゃないだろ」


 ザジは瞳の中に恐怖をたたえたフウナを見て、首を小さく横に振った。


「俺たちにとってはゲームでも、こっちの世界の人間にとっては現実だからな。強力な魔法武器を使って人間を殺しまくる転生者がいたら、こっちの世界の人間だってそれなりに調査する。そういうところから、転生者の存在がバレることだってじゅうぶんに考えられる。つまり、一部のバカな転生者が好き勝手な振る舞いをしたせいで、転生者全体が邪悪だと決めつけられる可能性があるってことだ。そしてそうなると、転生者に対抗する組織が発生するのはむしろ当然だろ」


 ザジは目に力を込めて2人の少女を交互に見つめた。するとヨッシーとフウナはきまりが悪そうに目を逸らし、渋い顔でうつむいた。なぜならば、ザジの言葉は暗に自分たちを責めているように聞こえたからだ。そしてそれが的外れな指摘ではないことを、2人の少女は理解していた。


「なんだ、おまえら。何か心当たりでもあるのか?」


「いえ、べつに……。私たちはセブンルールを守ってますから」


「そうだな。セブンルールさえ守っていれば、人間を殺しまくってもいいことになっているからな」


 ぼそりと呟いたヨッシーに、ザジは冷ややかなまなざしを向けて淡々と言った。それが自分たちに対する嫌味だということは、ヨッシーとフウナにはハッキリと伝わっていた。


「とにかく、今わかっていることはアーサーとポーラが殺されて、転生武具ハービンアームズが奪われたということだけだ。2人を殺害した犯人は俺が調べるから、そのあいだおまえたちはできるだけおとなしくしていろ。そして何かヤバいことがあったらすぐにこの店に来い。いいな?」


「はい、わかりました……」


 ヨッシーとフウナは渋々といった表情で首を縦に振った。それからふと顔を上げたヨッシーが、何気ない口調でザジに尋ねた。


「そういえばザジさん。この国の王族がまた暗殺されたって聞いたんですけど、今度は何人ぐらい殺されたんですか?」


「暗殺? そんなことを聞いてどうするんだ?」


「いえ、べつに。しばらくこの王都に滞在する予定なので、念のため情報を仕入れておこうと思っただけですけど」


「なるほど。情報収集か。それはたしかに基本だな」


 ザジは冷めた茶を飲み干して息を吐いた。そして記憶を探りながらゆっくりと話し始める。


「えーっと、まずは20日ほど前に、カロン宮殿で7人の王子がまとめて殺されただろ。その次はたしか、10日ほど前に、王位継承権第9位のお姫様が殺されたって聞いたな」


「……えっ? それだけ?」


 ザジの話を聞いたとたん、ヨッシーは思わずパチクリとまばたいた。7人の王子たちのあとに暗殺されたのがたったの1人だけとは夢にも思っていなかったからだ。


「ん? それだけだが、どうかしたか?」


「あっ、いえ、噂だと、もっと殺されたような話だったので……」


「まあ、噂ってのは尾ひれがつくもんだからな。俺も一応この国を担当する転生者管理官ミドルマンだから、情報はけっこうマメにチェックしている。今のところ、暗殺された王族は8人で間違いない。」


「そうですか」


 ヨッシーはわずかに顔をうつむけて、隣に座るフウナをギロリと見た。フウナも呆れ顔で目を剥いて、ヨッシーに1つうなずいた。2人とも口には出さないが、腹の中では怒りと呆れがグルグルと渦を巻いていたからだ。


「それじゃあ、ザジさん。とりあえずアーサーの安否確認は済んだので、私たちの仕事はこれで終わりでいいですよね?」


「そうだな。今回は俺の命令でヴァリアダンジョンに潜ったわけだから、


「は? 大目に見る?」


 ヨッシーは思わず首をかしげて、フウナと視線を交わした。2人とも、ザジが口にした言葉の意味が理解できなかった。


「それってどういう意味ですか?」


「べつに、そのままの意味だ。俺はこの国の情報をチェックしてるって言っただろ。だからヴァリア峡谷きょうこくの警備隊200名ほどが、崖崩れで全滅したっていう話も耳に入っている」


「あっ!」


 ザジの話を聞いたとたん、ヨッシーとフウナは息を鋭くのみ込んだ。その様子を見たザジは、渋い顔で2人を眺めた。


「やっぱりおまえたちの仕業だったか」


「あれは……その……」


「ああ、言い訳なんかしなくていいぞ。おまえたちを拘束して収容所アサイラムに送るのも面倒だから、今回は1つ貸しにしといてやる。しばらくはセブンルールをキッチリ守って、おとなしくしとくんだな」


「わかりました……」


 ヨッシーとフウナはバツが悪そうに顔をしかめてあごを引いた。




 そうして話を終えた2人は茶を飲み干し、ザジに別れを告げてハーブショップの外に出た。


「……あー、ヤバい。そういやあの警備隊、200人ぐらいいたっけ」


「そうだねぇ。100人以上だってこと、すっかり忘れていたよね、あたしたち……」


 ハーブショップの狭い軒先のきさきに立ったヨッシーは、降りしきる雨を眺めながら呆然と呟いた。隣に立つフウナも、ザジから受け取ったばかりのゲートコインを小さな革袋にしまい込んで、長い息を吐き出した。


「だからあのオッサン、私たちが店に入ったとたん、いきなりにらんできたのか」


「だけどまあ、収容所アサイラム送りにならなくてよかったねぇ~」


「そうね。こんな時に、のんびり収容所アサイラムになんか入っていられないからね。というか、あのバカ男子たちは、仕事をほっぽり出していったい何やってんのよ……」


 ヨッシーは思わず両目を吊り上げて、分厚い雨雲をにらみつけた。南の商業連邦シンプリアからはるばるこのクランブリン王国までやってきたのは、王位継承権第8位から第14位の7人を暗殺するためだ。しかも依頼してきた悪魔からは、かなりの前金を受け取っている。だからいくらアホな男子たちでも仕事をサボるとは思っていなかった。それなのに――。


「私たちが王都を離れてからもう10日以上も経っているのに、1人しか始末していないってどういうことよ」


「たぶん、よゆうでお仕事ブッちぎって、みんなで遊びまくってるよね、きっと……」


「まったく……。たった7人殺すだけの簡単な仕事もこなせないって、あいつらのバカさ加減は予想のはるか斜め上だったみたいね」


「だけどまあ、こうなったら、1人殺しただけでもマシって考えた方がいいかもねぇ~」


「たぶん、塚原のせいでしょ」


 不意にヨッシーは憎々しげに牙を剥いた。


「佐々木と宮本はけっこう後輩に甘いからね。あの口だけヤローの口車にのせられたんでしょ。まったく。あのバカは本気でいっぺん、バラバラに切り刻んで埋めてやろうかしら」


「でもさぁ、塚原ってガチのエムだから、痛めつけてもあんまり効果ないかもねぇ~」


「効果とかもうどうでもいいから。とにかくこの怒りをぶつけたいだけだから」


「まあ、あたしは止めないけど、一応アイツもギルメンだから、ぶっ殺すのは1回だけにしといてあげてねぇ~」


 フウナは軽く肩をすくめ、防寒用のマントを羽織った。


「それよりヨッシー、これからどうしよっか?」


「どうするもこうするも、とにかく冒険職アルチザン協会に行って男子たちと合流するわよ。そして残り6人の王族をさっさと始末するしかないでしょ」


「だけど1人殺しちゃったから、他の王族たちは守りをガチガチに固めてるんじゃないかなぁ~?」


「それはもうしょうがないでしょ。とにかく依頼を引き受けた以上、暗殺するしかないんだから」


 ヨッシーは苦々しい顔でフウナに答え、マントを羽織る。そして振り続ける雨の中に踏み出して、隣を歩くフウナに低い声でさらに言う。


「――だけどまあ、何とかなるでしょ。この世に大地がある限り、私に殺せない人間なんていないんだから」


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