x.人物紹介、解説(あとがき)
・香月沙夜(カズキ サヤ)
僕っ娘。本編の視点主。自己肯定感が低く、自分が嫌い。
すぐに虚勢を張ってしまう、不器用な寂しがり屋。
完璧主義の両親の影響で、人付き合いを諦めていた。
一人称は人避けと、両親へのささやかな抵抗。
転校してしまう奏に弱音を吐いてしまったことを気にしている。
再会してからは少しだけ険が取れ、人と話すようになった。
最近は奏のことを凄く意識してしまうのが悩み。
・桜小路奏(さくらこうじ かなで)
プロローグの視点主。中性的な顔立ちで、男の子にしては髪が長い。
少し抜けたところのある、けれど一途で、必死で、頑固な青年。人好きのする性格。
一人称は俺だが、あまり一人称を使わない。
初対面の人とは砕けた敬語で喋るが、素は間延びした子供っぽい口調。
沙夜とは幼馴染。小学校のときに親の都合で転校して、高校で地元に帰って来た。
転校前日、沙夜の言葉に何も返せなかったことを気にしている。
再会してからは会えなかった時間を埋めるように、沙夜にべったりくっついている。
沙夜のことを何よりも大切に思っているが、恋愛感情は無い。あるいは、まったく意識していない。
・解説(あとがき)
叙述トリックを使ってみたくて、2017年に書いた作品です。プロローグでは奏側から話を進め、本編に入ると急に沙夜に視点が変わる作りになっています。
プロローグで「彼女」と言ったり、奏の長髪を強調したり、沙夜の口調や一人称を男性的にしたり、名字の香月をカタカナで表記して呼びかけたり、と性別を逆に見せるミスリードの種を撒くのは非常に楽しく、上手く行きました。
しかし肝心のミスリードを解く場面が中々難しかったです。奏が「俺」という通常は男性が使う一人称を使い、視点主が〝沙夜〟という女性の名前であるということを明らかにすることで種明かしをしたのですが、万人には伝わらないようで……力不足を感じました。
他にも説明的な場面が続いてしまったり、書いていく内に想定と違う展開になったりと、反省点は多かったですが、満足は行くものになったと思います。
「読み返して貰える」を目標として書いたので、ぜひ読み返して、ミスリードを見つけたり解釈をし直したりしてもらえればなと。
読んだあなたの心に、少しでもこの作品が残れば、これ以上なく幸いです。
紅葉落ちれば、積日の。 散篠浦昌 @Chirasino_urms
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