Act.158 対死竜、オーガ兵戦!絆で結ばれた戦士たち!
霊銀製の武装を含めた対死霊戦のエキスパートとなるチームへ——
「フレード! あの死竜ヤロウは、お前の
「了解なの、テトお兄ちゃん! 今こそボクの、研鑽の証を見せる時……なの! 」
「ククッ……この様に心が躍るは何年ぶりかのぅ! よもやティティと、己の実力の最大を出し切って戦う日が来ようとは! 」
「ほんまおすなぁ。これもミシャリア様あっての導き……言う事やったら、ウチもあんじょう気張らなあきまへんえ。」
名刀〈
『フシャーーッッ! シュギャァァァーーッッ!! 』
ギロリと睨め付ける双頭の死竜が威嚇するも、対する
「ほな、ウチからいかせて貰います~~! なんや腕が疼いて仕方ありまへんよってな~~! 」
『お嬢、今までの苦しみの鬱憤……ここで晴らして行こうぞ! 』
抜刀妖精内に宿る関係上、共振装填解除後も彼女と共にある
一方——
「私めの名は、オーガ族首領にしてリュード様側近……ロード・ベンディッタ! ラブレス先見師団の副官として、貴君らのお相手
「ふふっ……オーガさん、名乗りも威風堂々——とても清々しい感じね! 」
「そうね~~! ついぞ相手にした、どこぞのクソ導師に見せてやりたいぐらいよ! んでもって——」
「あたしの怪力の、本領発揮出来る相手なんて夢みたい! そばにはペネも居る……なら、相手にとって不足なしね!! 」
長大なハルバードを振り回すは、こちらも背の丈10
それだけでも義姉妹となった
互いに持ち得る心根により、その戦いが尋常の勝負へと変貌して行く。
「あたしの名はヒュレイカ・ディーラー・フリージア! アーレス帝国は宮廷騎士にして、賢者ミシャリア・クロードリアの護衛騎士よ! 」
「ペネの名はペンネロッタ・リバンダ! 同じく、
「名乗り返し、
「ええ! 尋常に——」
「「「勝負っっ!! 」」」
今
後方で総大将を狙われた暗黒兵団も、支援に現れた三勢力に
対して総大将であるリュード・アンドラスト率いる本陣勢力は、
その中心……連星太陽の陰りは限界に達する夕暮れ間際。
そこにいる誰もが動揺を顕とする程の、膨大なる
未だそれ程の力を有した魔導に
嘘か誠か――かのお転婆と揶揄される、正統魔導王国 第一王女が持つ力に匹敵するそれ。
それが見習い賢者を自称する賢者少女より、暴風を
『
『此の地に住まう英霊の加護は我と共にあり……これより我、六大精霊の
暴風が爆光へと変異し……
∫∫∫∫∫∫
暗黒兵団を相手取る支援者達は、その相手と共々驚愕を覚えていた。
歴史上類を見ない程の
「こいつぁ……!? あの賢者の嬢ちゃん……もしかしてとんでもない化けモンだったのか!?」
「ば……化けモンだったんすか!? 」
「……お前のその発言は、俺の意図と違うだろ。なんならちゃんと、あの嬢ちゃんの前で言え。」
「口が滑ったっす、すんませんっす……(汗)。」
驚愕は驚愕でも、法規隊が見せる抜けた日常の様な空気を醸し出す。
その傍らでは——
「ふふ……これは彼女との戦いも、
不敵に笑う
右翼の
「アスロットよ! やはり……ぬぅん! あのミシャリア様の可能性——すでに想像も付かぬ域へと達した様だぞ! 」
「あなたに同意です。私もこの人生であれほどの
「……アスロットよ。その魔法力に拘わる発言は姫殿下より、対応を厳命されていたであろう? 「他言無用ヨロ」とな。」
「ここはアグネスの街中ではありません。故にそれが国民誰もの耳に入る事もないでしょう? ならば賛美ぐらいはさせて頂きたい。それ程までに、尊きお方なのですから。」
振るう長剣で、並み居るオークにコボルド兵と真摯なる立会いに興じる
溢れた言葉へ謹みをと注釈を乗せる騎士に、苦笑と本音を漏らす
偉大なる王国第一王女への忠誠はそのままに。
そしてその言葉は、中央で
「ミシャリア様……これほどの力を身につけていたとは! 殿下……こんな力をあの子——リーサ王女が感じ取ったなら、どんな顔をするでしょうかね! 」
「ああ……まあ(汗)。有り余る好奇心で顔を突っ込んで来るんじゃないか? あいつの事だ……自分に匹敵する
「——って、言ってるそばから不安になって来た。あいつ確か……溢れる魔法力の恩恵で、イザステリア海洋でさえ飛び越えられた気がするんだが? 」
「……あ……(汗)。」
真摯なる戦いの最中——
∫∫∫∫∫
領海外で、
上へ下への大騒ぎとなる城——〈
老年に差し掛かる面持ちも、煌びやかな王族魔導法衣で荘厳ささえ覗わせるは……王国現女王たるアグネス・フェニーチェ・ハイドランダーである。
「かの
「あれ? バレてた(汗)。」
その女王から放たれた言葉で、一室の窓の上からヒョイと顔の覗かせるは一人の少女。
幼さ残るも端整な顔立ち。
上から覗き込んだ事で甘栗色の艶めかしいショートヘアーが滝の様に流れ落ちる彼女は、有り体に言えば美少女であった。
しかし王女としてはあるまじき行動で現れた少女へ、老齢なる女王が言葉を投げる。
後に
「そのままで構いませんから、よくお聞きなさい。貴女がかつて私に提案した件……今までそれに達する優れた導師不在に付き保留としていましたが——」
「ラブレスが動き出したとあれば、そうも言っていられないのが実情。それに……私の予感では彼女——ミシャリア・クロードリアこそが、貴女の立案したモノに相応しい予感がしてなりません。」
そして見上げる老齢な女王は、双眸へ映り込む少女へ世界すら動く宣言を掲げたのだ。
「我が愛娘 アグネス王国第一王女 リーサ・ハイドランダー。これよりかの戦地へ赴き、術師会代表にまで上り詰めんとする賢者ミシャリアを見極め……貴女が世界安寧のために創設するアグネス六賢者に足るかをその目で判断して来るのです。」
飛ぶ想像だにしない女王の言葉へ、待ってましたとばかりに舞い降りる少女は……そのまま手にした機械杖を足蹴にするや波乗る様に滞空した。
「うん。ちょっと私も気になってんだ、あの子。私に匹敵するかもしれない
母たる存在へ笑顔の首肯を返す少女——お転婆と揶揄された第一王女は風となるや、大気を機械杖で波乗る様に王国を後にしていた。
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