百八つの赤い縫い目

最近は痛風気味

序 プロローグ

「おーっとデットボールです!何という幕切れでしょうか!京浜高校サヨナラゲームで甲子園の切符を掴みました。しかし大丈夫でしょうか。投球は頭部直撃でしたからねぇ、柴木さん」

 「そうですねぇ、ボールが打者の足元に落ちましたから。ボールが遠くにはじけた場合は心配無いのですが・・・」

 打者はその場に横たわり微動だにしない。


 「うわぁぁ」

と高村光太郎はうなされて飛び起きた。

 「またあの夢か」

とチームメイトの藤堂武春が問いかける。高村はこくりと首を少し下に動かした。時計は四の文字で重なろうとしている。辺りは薄っすら明るい。

 「ちょっと汗流してきます」

高村はタオルを左手に持ち部屋を出ようとした。

 「もうあの時の自分とは違うことを実証してみせます」

 「そうか、俺もひと汗かくかな」

藤堂も漆黒の木製バットを持ちながら、高村と一緒にホテルの庭に向かった。

 ワールドベースボールトロフィー決勝戦、対韓国戦が丁度十二時間後に迫っていた。サンフランシスコの夜の帳が開き始めた。

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百八つの赤い縫い目 最近は痛風気味 @Kdsird1730

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