寝不足という名の自殺について。

 寒暖や気圧の差で少し頭が“締まる”というのか、今一つ集中力が持たない日々が続いている。


 いわゆる天気病でもないのにこれなのだから神経の細いタイプの方々におかれては十分に注意し、特に睡眠時間には気を遣っていただきたい。


 いくつか本など読んでみたところ、どうやら適切な睡眠とは寝覚めの良さによるものらしい。


 たとえ4時間しか眠れなかったとしてもパッと目が覚めていたら快眠、8時間寝ても身体が重かったらよくない、と、そういう単純な考え方でよいそうだ。


 今回は寝不足について書く。


 もし、夜に眠れなければ昼寝をすればいい。


 なんとなれば、夜は時間に追われてしまっていることが多い。


 眠たい、ではなく、寝なければ、と自己強迫に陥っている。


 良き目覚めからは程遠い。


 そんな状態で仕事なり学校なり行ったところで、睡眠負債がたまるばかりだ。


 負債ののちには、破産が待っている。心身のゼロ点はつまり死だ。寝不足は要するに緩慢な自殺である。


 とはいえ文字通り寝食を忘れ生きることも人生である。


 決めたことなら、否定はすまい。


 そうではない、大して人生にやりたいことも為したいこともないなら、つまり緩慢な生存を望むのならば、明日の仕事は休め。


 不眠の何が人をむしばむといったら、身体が眠ることを忘れてしまうことである。


 神経伝達物質のセロトニンが上手く回らなくなり、脳が「はて? 眠るとは? どういうことだったかな?」となってしまう。


 睡眠薬という補助輪無しでは睡眠という自転車に乗れなくなってしまう前に、眠ることに慣れておくことが重要だ。


 だから、昼寝だ。


 いつでもいいから、とにかく眠る。


 惰眠で構わない、脳と身体が忘れかけている所作をもう一度叩きこむ。


 すると、自然、生活のテンポが変わってくる。


 眠りのある生活というのが戻ってくる。


 その先に待っているのは、それもまた死ではあるのだが。


 とりあえず、緩慢な積極的自殺から緩慢な消極的死へ、ギアが落ちる。


 そうなれば、ひとまず安心だ。


 眠れ、眠れ、死んだように。

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