雨の日の話
殺したがり屋が殺せない人は。
ひとつ、面白いかもしれない心理テストを思い付いたので少し考えてみて欲しい。
条件1―――あなたはいわゆる
条件2―――あなたは地球上に生きるすべての人類の中でもっとも頭脳明晰で、どのような規模の捜査機関でも逮捕できず、罪に問えない殺害方法を思い付くことができる。
条件3―――条件1,2を踏まえて、しかしながら、あなたにはどうしても殺せない、殺したくない人間が存在する。
問い: 条件1,2,3を備えたあなたが殺せないのはどのような人物か。
この質問で分かることは……分からない。
なにが分かるのであろうな、友よ。
心理テストというより、創作ノートに近いかもしれない。
私にはミステリー/スリラー作家の素養がないので、もしなにかおいしいネタを思い付いたらどうぞ使っていただいて構わない。
話を戻そう。
最初に思いつくのは一等親内の家族だが、なんとも陳腐な答えだと思ってしまう。
「殺人が何よりの娯楽」という人物を設定した以上、親兄弟などは成年に達する前に始末してしまっておいてほしいところだ。
また、「人類随一の頭脳」と設定したのだから、そこいらの偉大な発明家や、大国を率いるリーダーなどをハジいてしまったとしても、本人が代わりを務めてしまえるだろう。
といったところで考えた結果、私の答えはこうなった。
・誰か?―――そこいらで見つくろった人物
・なぜか?―――敢えて殺さない人間を決め、自分を別の角度から見つめ直し、あわよくば新しいまた別の趣味を見つけるため
よく分からないと思われるので詳しく説明する。
もし私が殺人を趣味とする天才だったとしたら、私自身の性格上、その趣味に本気で打ち込むことはないと思われる。
私は、だいたい何をしてもすぐどうしようもない虚しさが襲ってくる類の人間だからだ。そういった性根の部分が、どのようなことも相対化してしまう。
人間のやることなどすべて無意味だという虚無が私の中には常に巣食っている。
なので、何かに長く強くこだわるなどということはない。
どこかで必ず飽きる。
別なことをしたくなる。
殺人者たる自分を客観視したくなる。
そうするために手っ取り早い方法が「殺さない人を作る」ではないだろうか、と、思った次第である。
あなたはどうであろうか。
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