生まれ変わったら、何になりたいか

 死を望む友よ。今日は元気か、息をしているか。


 心身が不調の時というのは、得てして呼吸が浅くなっている。身体が緊張し、あくびが増え、頭がぼうっとなる。そうならないためには、ゆっくりと吐き、鋭く吸う。口呼吸ではいけない。扁桃腺を冷やすように鼻呼吸をするのだ。


 私は軽い鼻炎があり、特に最近の寒暖差にはアレルギーのような反応が出てしまう。故に鼻呼吸を助ける薬だのスプレーだのを試している最中だ。


 今回は、ひたすら益体のない話をしようと思う。 


 輪廻転生の思想を私は好まないが、今の自分でなくなるのなら不安に思う必要もなかろう。今と同じく、愚かで碌でもない人間の生を与えられるとしても、それはもう、私の話ではない。


 とはいえ、選べるのであれば、動物はもうたくさんだというのが持論だ。


 屋久島の杉になりたいと思う。


 樹齢千年を超える、人の手がほとんど及ばない森林の奥にある木として生を受ける。これはなかなか魅力的だ。


 静謐せいひつで、清廉な一生を送れる気がする。


 それに比べれば、人の生など碌なものではない。等しくろくでなしであるから、その点ではなってやっても良いと思えるが、屋久杉には敵わない。


 と、縄文杉への憧憬を書き散らしたところで、さらにもう一つ冗句を。


 生まれ変わって、積んだ徳がとても足りず、また人に生まれてしまったとき。


 そのときも、自殺志願者になりたいか。


 私は、どちらでもいいと思っている。


 あなたは、どうだろうか。


 私などは、人として出生した時点で、その生は辛く、苦しいものであることが確定なのだから、自殺志願者かどうかなど枝葉末節しようまっせつであると考える。


 それは嫌だとして、では、どのような生をあなたは望むだろうか。


 そしてそれは、今この時を生きるあなたでは達成不可能な事柄だろうか。


 我々は、「死にたくない」といくら唱えたところで死んでしまう生を受けた。


 その中身に、何らかのこだわりを見出せるのだとしたら、それを目指してみるのもいいのではないかと思う。


 大丈夫だ。何を為した、為せなかったところで、しょせんは人の業である。私もあなたも、ろくでなしだ。


 生まれ変わったら、屋久島で会おう。

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